| Home |
2008.04.12
孫六温泉は静寂の中に

秋田旅行2日目。昨日に引き続き、雨模様の中を精力的に建築を見てまわる。中でも、白井晟一の奥田邸(1956)と大江宏の角館樺細工伝承館(1978)は、ヴァナキュラーな建物が持つ類いの質を獲得していて、予想が良い意味で裏切られた。風土と合わせて語らなければならないだろう。書き始めると昨日より長くなってしまいそうなので、またの機会に…。
いま孫六温泉にいる。秘湯として知られる秋田県仙北市の乳頭温泉郷の中でも、最奥に位置する宿だ。今晩の宿泊者は私たちしかいない。

というのも、現在、露天風呂が改修中で、本当は休館なのである。予約を入れた時には、工事が終わっている見込みだったのだが、悪天候のために4月20日まで工事終了が延びてしまった。そんな事情を電話で丁寧に説明してくれたのと、行ける日が今日しかなかったのと、どうしても露天に入りたかったわけでもなかったのとで、キャンセルせずに来たら、貸し切り状態となった。

一組だけのために作ってくれたごはんは、じっくりと美味しかった。熱燗が進む。こんなに食べきれるかと思っていたのだが、味の染みたきりたんぱも、食感豊かな山菜も結局、全部たいらげてしまった。野趣あふれる内風呂から上がれば、身体はマッサージされたかのようだ。
近くに道路が無い。部屋にはテレビが無い。コンセントも無い。ウィルコムも入らない。外界から隔絶されて川の音だけを聞く夜は、ぜいたくなものだと思う。

お手洗いの入り口にもこう書いてある。「ようこそ! 山奥の宿へ この山奥は、残念ながら、文明の力はありません」。
しかし、インターネットはあった。試しにとやってみたら、無線LANが使えたので、この記事をアップ。
今晩はゆっくり寝て、明日の盛岡見学に備えられそうだ。
| Home |