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本荘支店01

今日から秋田に来ている。取材ではなく、個人的な基礎体力づくり。ガソリン税問題でガソリンが安く、道路特定財源の恩恵であるガラガラの高速道路のメリットが享受できる昨今、得したというか、何かやましいことをしている気分にもなる。

訪れた中でも特に感銘深かったのは、宮脇檀さんの設計した旧秋田相互銀行本荘支店(1974)。建築に対する宮脇さんのライトな感覚が、建築界に新風を吹き込んだことが実感できる。見るなら今しかない。なぜならば・・・。
1970年代に宮脇さんが手がけた一連の秋田相互銀行の支店は、建築界でもよく知られている。銀行の合併などに伴い、あるものは解体され(秋田支店など)、あるものは転用されて現存している(角館支店など)。旧本荘支店は由利本荘市役所第二庁舎として使われている。そう教えてくれたのは、モダニズム建築に詳しいライターの磯達雄さんだ。
由利本荘市に尋ねると、再開発中の中心市街地にあるという利便性から取得したが、現在建設中の新たな第二庁舎が2008年秋に完成した後、取り壊しの計画になっているとのこと。

さっそく現地を訪れた。建物は外壁のブルーや鉄骨のイエローも鮮やかに、ほぼオリジナルの状態が保たれている。矩形をうがって吹き抜けを設けるという、この時期の宮脇さんらしい形だ。

本荘支店04

入ってまず、奥にある階段に感心してしまった。鉄骨が鉄骨であることを隠さず使われている。過度にデザインしていない。材料と材料の隙間などもほっておいている良さがある。それがガラスによって見通せる全体の空間構成とぴったり合っているのだから、結局、設計は相当に綿密である。
同じことは、オフィス部分にも吹き抜けにもいえる。力みが無いがゆえの良さは、ディテールだけでなく、写真で見ると象徴的にも思えてしまうボックスの形態にも、さらりと光を取り入れた吹き抜けの内部空間にも、表現的でないので意外にすんなり受け入れられるような色彩にも当てはまる。すべて軽妙。いい意味でライトなのだ。

本荘支店05

どうだとばかりに空間を表現したり、手仕事に凝ってみたり、過度な観念性を与えたり ― 宮脇さんの手法は、「建築界」を離れたらほとんど意味がなくなってしまうような、そんな力みからは遠い。それが現代的に思える。
あっさりとした良い決断を与えて、それまでの重みから建築を解き放ったと言えるだろうか。70年代にいよいよ増えつつあった工業素材に対する「建築家」の対応においても、商業建築や住宅の要請に対して軽やかな才気で応答する様についても、宮脇さんが現在の建築家像の原点である。そう思わせる優れた建築だった。

本荘支店03

塗装が剥げてしまったところなどは30年余りの歳月を感じさせる。しかし、こういったつくりなのでメンテナンスは難しくないはず。もともと色も構成も開放的なので、地域の公共施設に転用すれば、うまく生かされるだろう。
市役所の方々に警戒心なく応対していただいたこともあって、建物が役目を終えて消え行くことを静かに見守ろうと思っていた。しかし、実際に目にして、良いものだと分かってしまうと「もったいない」という感情を抑えきれないのが正直なところだ。

本荘支店02
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