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2008.04.09
妹島和世さんの交番が取り壊されていた

京王線に乗っていて、調布駅でふと顔を上げたら、どこか風景が違う。
ホームから見えていた、あの壁が無い。
妹島和世さんの調布駅北口交番(1994)が姿を消しているのではないか。
次の予定まで余裕があったので、電車を降りてみた。北口のロータリーから見ても、やはり無い。1980年代から90年代にかけてつくられた東京都の一連のデザイン交番の一つだが、この調布駅北口交番は中でも異彩を放っていた。

親しみやすい素材、読み解きやすい形態、開放的なイメージといった「交番のイメージアップ」にふさわしいデザインを展開した多くのデザイン交番に対し、これはその逆を行っていた。現場打ちの鉄筋コンクリートにフッ素樹脂鏡面仕上げをほどこした黒光りする壁は、駅前の風景の中でポップに、異様で、割と好きだった。


1年前に訪れたとき、お巡りさんが京王線の連続立体交差事業で、そのうち壊すと教えてくれたのだが、すっかり無くなっていたとは・・・。中は吹き抜けになっているため、上の休憩室は暑くてね、とも言っていた。
帰宅してから、webで検索をかける。「建築雑誌」の編集委員会でご一緒しているランドスケープアーキテクトの石川初さんが、2008年2月29日の「さようなら北口交番」という記事と3月4日の続編で取り上げていた。解体中の断面を撮影している。交番ならではの耐久性の要求を、分厚い2枚のコンクリート面に「超訳」したコンセプトが一目瞭然。貴重な写真だ。
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