| Home |
2007.03.29
住まい手として取材されて
取材を受ける側、というのは初めての体験である。
『日経アーキテクチュア』の最新号(3月26日号)の特集は「オンリーワンの家づくり」。
昨年に竣工した戸建て住宅・集合住宅9件を取り上げ、建て主、設計者、住まい手の声をレポートしている。
その内の一つが、長田直之さん(ICU)設計の「blocco」になり、「○○号室に暮らすのは、建築史家の倉方俊輔氏」として登場することになった。

『日経アーキテクチュア』の最新号(3月26日号)の特集は「オンリーワンの家づくり」。
昨年に竣工した戸建て住宅・集合住宅9件を取り上げ、建て主、設計者、住まい手の声をレポートしている。
その内の一つが、長田直之さん(ICU)設計の「blocco」になり、「○○号室に暮らすのは、建築史家の倉方俊輔氏」として登場することになった。

取材当日はちょうど、その前の号の「アーキファイル2007/注目の10人」の原稿の締切り間際だったので、ばたばたと書類を片づける。
室内写真とインタビューだけかと思っていたら、「生活感を出したいので、写真に収まってください」と言われ、起き抜けの顔でmacに向かう。
手持ちぶさたなので、このホームページを開いてみる。
「顔写真を」と取材で言ったとたん、相手が動揺する気持ちが分かるような気がした。
出来上がってみると、写真の扱いが意外と大きい。髪の寝ぐせが気になる…。
特集というのは重なるものだ。
今出ている『pen』(4月1日号)の特集も、《建築家住宅とアタシ》(正確なタイトルは「集合住宅の私的な暮らし。」)で、「blocco」はここにも登場する。
しかも、西沢立衛の「森山邸」の次、4ページの大きな扱い。
『日経アーキテクチュア』の記事では、詳しい平面図が載っていて、同誌がこれくらい大きく図面を掲載するのは珍しい。
長田さん、モテモテである。
プランがキャッチーかつ複雑ということも一因だろう。
「十字プラン」という総称が付いていて、各戸が違った平面をしている。
だから、一つ一つを見たくなる。どうやって住んでいるか、知りたくなる。
僕も他のお宅はどうやって暮らしているのか知りたかったが、その一部はかなえられた。
『日経アーキテクチュア』と『pen』の記事を併せると、全28戸のうち、2割以上(計6戸)の室内を見ることができる。
みなさん素敵な暮らしっぷり。
土間をああ使っているのか、こういうインテリアの置き方もあるのかと参考になる。
今、キーボードを叩いているこの場所から、十数メートルのところの様子をマスメディアで初めて知るというのも、何か不思議な気分だけど。
誌面を開くと、「建築家」も「住まい手」も、幸せそのもののように見えてくる。
建築に関わる業務と、全き美しさを求める気晴らしが絡み合って、
取材することと、取材されることとが入れ子になって、
これもエッシャーの絵画のように、不思議な体験だ。
室内写真とインタビューだけかと思っていたら、「生活感を出したいので、写真に収まってください」と言われ、起き抜けの顔でmacに向かう。
手持ちぶさたなので、このホームページを開いてみる。
「顔写真を」と取材で言ったとたん、相手が動揺する気持ちが分かるような気がした。
出来上がってみると、写真の扱いが意外と大きい。髪の寝ぐせが気になる…。
特集というのは重なるものだ。
今出ている『pen』(4月1日号)の特集も、《建築家住宅とアタシ》(正確なタイトルは「集合住宅の私的な暮らし。」)で、「blocco」はここにも登場する。
しかも、西沢立衛の「森山邸」の次、4ページの大きな扱い。
『日経アーキテクチュア』の記事では、詳しい平面図が載っていて、同誌がこれくらい大きく図面を掲載するのは珍しい。
長田さん、モテモテである。
プランがキャッチーかつ複雑ということも一因だろう。
「十字プラン」という総称が付いていて、各戸が違った平面をしている。
だから、一つ一つを見たくなる。どうやって住んでいるか、知りたくなる。
僕も他のお宅はどうやって暮らしているのか知りたかったが、その一部はかなえられた。
『日経アーキテクチュア』と『pen』の記事を併せると、全28戸のうち、2割以上(計6戸)の室内を見ることができる。
みなさん素敵な暮らしっぷり。
土間をああ使っているのか、こういうインテリアの置き方もあるのかと参考になる。
今、キーボードを叩いているこの場所から、十数メートルのところの様子をマスメディアで初めて知るというのも、何か不思議な気分だけど。
誌面を開くと、「建築家」も「住まい手」も、幸せそのもののように見えてくる。
建築に関わる業務と、全き美しさを求める気晴らしが絡み合って、
取材することと、取材されることとが入れ子になって、
これもエッシャーの絵画のように、不思議な体験だ。
mochiko
はじめまして。はじめてのコメントです。
bloccoに住まれているんですね。デザイナーさんの建物に住むのはどういった感覚ですか? 一般人の私なので、気になりました。
それと長田さんというかたは、東京にいるんですか?東京で共に働いている社員さんなどはいるんでしょうか?
デザイナーさんの働き方も気になりますね。よろしくおねがいします。
bloccoに住まれているんですね。デザイナーさんの建物に住むのはどういった感覚ですか? 一般人の私なので、気になりました。
それと長田さんというかたは、東京にいるんですか?東京で共に働いている社員さんなどはいるんでしょうか?
デザイナーさんの働き方も気になりますね。よろしくおねがいします。
2007/10/05 Fri 00:51 URL [ Edit ]
くらかた
mochikoさん、はじめまして。コメントどうもです。
こうした種の集合住宅に暮らすのはこれが初めてなので、一般化はできないのですが、いわゆるフツーのマンションが、考えられる住まいの形を座標平面にした時、その真ん中あたりにこじんまりとまとまっているとすると、「デザイナーさんの建物」はその左右や上下にそれぞれが幅広く振れているようなものなのでしょう ― これが住む感覚を一般化できない第2の理由でもあります。
前者が間取りや仕様を多数派向けに狙い定めて、防犯機能やキッチン設備の差にしのぎを削っているとすると、後者は個々人の趣味性に合ったり、住まい方を刺激したりするような間取りや仕様をあれこれ考える。暮らしの24時間の満足の平均値を安全に狙うか、「あぁ、暮らして良かったな~」と思える瞬間を高めようとするかの違い、と言い換えられるかもしれません。
どちらに振って、何を高めているか・・・その判断は多分、人それぞれ。「ここで楽しく住める?」と自分の心に質問してみるのが良いかと思います。最初に心魅かれた部分は後になっても(最初の先入観があって)案外変わらないもの。初めの直感に重きを置いてみることをお勧めします。購入する場合にはより慎重さが要求されますけど、借りるのであれば何事も経験になりますし。
自分自身について言えば、このblocco、さまざまな方向に窓からの視線が伸びていて、しっかり守られている箱の中に空気が通り抜ける感覚が気に入っています。
長田さんの東京事務所も同じ集合住宅にあって、大阪のほうに行っていることが多いようですが、ときどき玄関でお会いして立話などします。最近、東京でもいろいろ物件を手がけているご様子です。で、社員さんは何名くらいいらっしゃるのでしょうね? 今度尋ねてみます。
こうした種の集合住宅に暮らすのはこれが初めてなので、一般化はできないのですが、いわゆるフツーのマンションが、考えられる住まいの形を座標平面にした時、その真ん中あたりにこじんまりとまとまっているとすると、「デザイナーさんの建物」はその左右や上下にそれぞれが幅広く振れているようなものなのでしょう ― これが住む感覚を一般化できない第2の理由でもあります。
前者が間取りや仕様を多数派向けに狙い定めて、防犯機能やキッチン設備の差にしのぎを削っているとすると、後者は個々人の趣味性に合ったり、住まい方を刺激したりするような間取りや仕様をあれこれ考える。暮らしの24時間の満足の平均値を安全に狙うか、「あぁ、暮らして良かったな~」と思える瞬間を高めようとするかの違い、と言い換えられるかもしれません。
どちらに振って、何を高めているか・・・その判断は多分、人それぞれ。「ここで楽しく住める?」と自分の心に質問してみるのが良いかと思います。最初に心魅かれた部分は後になっても(最初の先入観があって)案外変わらないもの。初めの直感に重きを置いてみることをお勧めします。購入する場合にはより慎重さが要求されますけど、借りるのであれば何事も経験になりますし。
自分自身について言えば、このblocco、さまざまな方向に窓からの視線が伸びていて、しっかり守られている箱の中に空気が通り抜ける感覚が気に入っています。
長田さんの東京事務所も同じ集合住宅にあって、大阪のほうに行っていることが多いようですが、ときどき玄関でお会いして立話などします。最近、東京でもいろいろ物件を手がけているご様子です。で、社員さんは何名くらいいらっしゃるのでしょうね? 今度尋ねてみます。
2007/10/10 Wed 09:12 URL [ Edit ]
mochiko
くらかたさん、とってもわかりやすい説明をしていただいてありがとうございました。私は、けしてこういう専門知識はわからないのですが、座標軸において考えると、とても理解ができ深まったように思います。
一般にあるマンションの住まいもそれも一般的というよりそういう考え方の住まいのパターンと思うと、デザインをなさった建物もこういう住まいのパターンなんですよね。いいのかよくないかなって思うよりもそう考えるようになりました。私は、まだこういうマンションは経験ありませんが、一度住めればと夢見ています。笑
一人でこの建物を考えたのかなと思うとすごい!とおもっていろいろと伺ってしまいました。今後もブログおじゃましますー。
一般にあるマンションの住まいもそれも一般的というよりそういう考え方の住まいのパターンと思うと、デザインをなさった建物もこういう住まいのパターンなんですよね。いいのかよくないかなって思うよりもそう考えるようになりました。私は、まだこういうマンションは経験ありませんが、一度住めればと夢見ています。笑
一人でこの建物を考えたのかなと思うとすごい!とおもっていろいろと伺ってしまいました。今後もブログおじゃましますー。
2007/10/10 Wed 23:49 URL [ Edit ]
| Home |