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取材を受ける側、というのは初めての体験である。
『日経アーキテクチュア』の最新号(3月26日号)の特集は「オンリーワンの家づくり」。
昨年に竣工した戸建て住宅・集合住宅9件を取り上げ、建て主、設計者、住まい手の声をレポートしている。
その内の一つが、長田直之さん(ICU)設計の「blocco」になり、「○○号室に暮らすのは、建築史家の倉方俊輔氏」として登場することになった。

blocco廊下から
取材当日はちょうど、その前の号の「アーキファイル2007/注目の10人」の原稿の締切り間際だったので、ばたばたと書類を片づける。
室内写真とインタビューだけかと思っていたら、「生活感を出したいので、写真に収まってください」と言われ、起き抜けの顔でmacに向かう。
手持ちぶさたなので、このホームページを開いてみる。
「顔写真を」と取材で言ったとたん、相手が動揺する気持ちが分かるような気がした。
出来上がってみると、写真の扱いが意外と大きい。髪の寝ぐせが気になる…。

特集というのは重なるものだ。
今出ている『pen』(4月1日号)の特集も、《建築家住宅とアタシ》(正確なタイトルは「集合住宅の私的な暮らし。」)で、「blocco」はここにも登場する。
しかも、西沢立衛の「森山邸」の次、4ページの大きな扱い。
『日経アーキテクチュア』の記事では、詳しい平面図が載っていて、同誌がこれくらい大きく図面を掲載するのは珍しい。
長田さん、モテモテである。
プランがキャッチーかつ複雑ということも一因だろう。
「十字プラン」という総称が付いていて、各戸が違った平面をしている。
だから、一つ一つを見たくなる。どうやって住んでいるか、知りたくなる。

僕も他のお宅はどうやって暮らしているのか知りたかったが、その一部はかなえられた。
『日経アーキテクチュア』と『pen』の記事を併せると、全28戸のうち、2割以上(計6戸)の室内を見ることができる。
みなさん素敵な暮らしっぷり。
土間をああ使っているのか、こういうインテリアの置き方もあるのかと参考になる。
今、キーボードを叩いているこの場所から、十数メートルのところの様子をマスメディアで初めて知るというのも、何か不思議な気分だけど。

誌面を開くと、「建築家」も「住まい手」も、幸せそのもののように見えてくる。
建築に関わる業務と、全き美しさを求める気晴らしが絡み合って、
取材することと、取材されることとが入れ子になって、
これもエッシャーの絵画のように、不思議な体験だ。
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