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「大阪弁護士会館」は大阪の中心部、堂島川沿いの大阪法務合同庁舎跡地に2006年9月オープンした。
その名前から、立ち入りにくそうな先入観を持ってしまうが、1階のエントランスロビーは出入り自由。法律相談室なども開かれる市民と法曹界との接点である。
観賞ポイントは、何といってもその素材感だ。

大阪弁護士会館01
エントランスロビーは3階分が吹き抜けて、長さ50メートルの空の長方体になっている。
その6面を見わたせば、それぞれに違った風合いの素材が目に入る。

大阪弁護士会館02

床に敷き詰められているのは、特注した大板の陶板。色むらに心和む。床の上には木の風合いを生かしたベンチが配されて、公園のような雰囲気をかもし出している。
天井はコンクリート打ち放しだが、目を凝らすと細かな型枠跡がある。木目のある杉の小板を並べてコンクリートを打ったものだ。このご時世にわざわざ…。
道路に面した側は、全面のガラスのスクリーン。外側の柱から支持しているので、内側から見ると、ただガラスの面が一直線に続いているように感じられる。
その反対側には、煉瓦のスクリーン。透かし積みで、色むらや凸凹が強調される。ガラスのスクリーンとの素材感が対照的だ。
スクリーンの奥は、ホールのホワイエになっている。煉瓦を透過した光が模様を描き出す光景。重いのか、軽いのか、分からないような不思議な空間が広がっている。
エントランスロビーの残りの2面もガラスのスクリーン。1面にはトルコで織られた大きなキリムが架かっている。荒い風合いと中間的な色彩が、いいアクセントになっている。
エントランスロビーでは、心の琴線の触れるような昔からの素材と、現代の技術とが今までに無い出会い方をしている。

大阪弁護士会館04

設計を担当したのは日建設計の江副敏史さん。
昨年に竣工した兵庫県立芸術文化センターも江副さんの作品だ。
素材で共通するのが、煉瓦の壁。
工場に色むらを作らせ、職人に何度も指示して凸凹に積ませたという。
平滑に積むことに慣れているので、1週間もすると元に戻る。そうしたら、また「もっと凸凹に」と言って回ったそうだ。

大阪弁護士会館03

大阪弁護士会館の間仕切壁では、壁の上下がスライドするようにして地震に対する逃げをつくり、「煉瓦貼」ではなく、「煉瓦積」を実現している。
組織の中にあって、21世紀に本物の「煉瓦壁」を実現させてしまう執念・・・。
その奥にはクラシックな建築の良さの理解と、確信が横たわっているようだ。
材料の好みを尋ねると、今のところ、煉瓦以上に現時点で使える素材は見あたらない、鉄はまあまあ、アルミは嫌いとのこと。
同時に、現代の技術を活用し、構造や意匠がウソをつかないことを心がけている。
うむ、前川國男さんにインタビューしたら、こんな感じなのだろうか。

大阪弁護士会館は中之島から歩いてすぐ。
岡田信一郎の大阪中央公会堂、野口孫市・日高胖(日建設計の祖先)の大阪府立中之島図書館といった近代建築ツアーの定番の後に、足を伸ばしてはいかがだろうか。
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