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梅田駅から石橋乗り換えで25分。
阪急箕面線の終点から伸びる坂道を3,4分歩くと、怪しく光るエレベーターが待っている。
100円を支払って(チェックアウト時にキャッシュバックしてくれる)、
「チン!」と鳴った屋上から空中歩廊を渡れば、高度成長期の大規模温泉ホテル遺産「箕面観光ホテル」の入口である。

箕面観光ホテル全景
先週、取材で大阪を訪れた。
取材地は梅田近辺だったけど、せっかくなので、箕面観光ホテルまで足を延ばすことにした。
なに、それ?、と多くの人が思うだろう。
僕もそうだった。
磯達雄・宮沢洋『昭和モダン建築巡礼 西日本編』(日経BP社、2006)の
「寄り道巡礼」のコラムで初めて、崖にそびえるその雄姿を知った。
それで、せっかくなので、と思ったのだった。

完成したのは1968年。設計は坂倉準三建築研究所。
躯体は鉄筋コンクリートの打ち放しで、欄干はリベットむき出しの鉄骨だ。
ともに隠し立てしない工業素材そのものでありながら、
日本の伝統建築の柱梁構造と高欄を模していて、
そのデザインの思いきりの良さが、時代を実感させる。
モダニズム建築マニアなら、側面からの眺めに
京都国立国際会館コンペの菊竹清訓案(1962)の影を見出すことだろう。

箕面観光ホテル夜景

街側の部屋からは大阪の夜景が一望できる。
最上階には、周囲がガラス窓になった「大展望風呂」。
「夜景もいいけど、朝風呂がオススメ。ピラミッド型の天井のスリットから光が差し込む」
これは、前掲書での宮沢さんの弁(p.149)。
遊星からでも来たような、真ん中の半球形のオブジェから湯はこんこんと沸いて、ここはどこ?、というような朝が味わえる。

箕面観光ホテル風呂

当時の坂倉準三建築研究所の設計した建築には、意外にメタボリズムの香り漂う作品が多い(一番有名なのが、渋谷のビラ・シリーズ)。
それらと比べて、特に建築的に面白いかと言われると返答に窮するのだけど(だから、磯さんもメインの「巡礼地」ではなく「寄り道巡礼」で扱ったのだろう)素泊まりなら、ツインの部屋に一人で泊まって6,000円(朝食・部屋指定無し/楽天トラベル)。
大阪市内から小一時間で、レトロ感と広々感の両方が味わえる。
また、訪れてしまいそうだ。

なお、『昭和モダン建築巡礼 西日本編』は、
1945年から75年に建てられた20件(+寄り道8件)を紹介している
(東日本編は『日経アーキテクチュア』で連載中)。
いわゆる「モダニズム建築」を、お勉強くさくなく、愉しもうという本は、
これが日本で初めてだと思う。
文・磯達雄、イラスト・宮沢洋とあるが、
編集者である宮沢さんのイラストも、十二分に私見を語っている。
磯さんの、途中から自分の趣味の世界に入り込む、
でもライターなので文の運びは読みやすいし、きちんと情報は盛り込まれている
「口当たりの良い珍味」な文と併せて、1冊で2度も美味しい1,890円(税込み)。
書店で目にしたら、必ず手に取っていただきたい。
そう思うくらい、おすすめの一冊だ。
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