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19日の「ヒアシンスハウス・風信子建築塾」は、好天に恵まれた。
別所沼を囲んだ公園は、視界がスパーンと開いて、
でも、人間的なスケールで、気持ちいい。
そんな景観で、暑いくらいの気温も、二三度下がって感じられるほど。
「沼」の語感とはだいぶ違うなあ。

今回、立原道造までの日本近代建築の流れを通覧せよという課題が与えられた。
時間は60分。
「早分かり・建築家世代論」を応用して、写真を交えながらレクチャーする。
前に早稲田大学芸術学校で教えていた時に開発した、我流の手法。
ともかく予定の時間に収まって、ほっとした。

自分の番が終わると気が楽だ。席について、さぁ、津村さんの講演を聴こう。
お話は立原道造の建築家としての経歴を紹介することに始まり、
ヒアシンスハウスの背景に触れながら、デザイン過程を追い、
より広い文脈に位置づける。平易なプレゼンテーションでありながら、示唆に富む。
さすがに話の厚みが違う。
最後に触れた戦後小住宅との親近性は、
おそらく津村さんが、これから展開されるテーマだろう。
戦後と戦前の建築のつながりを捉える上で重要であるし、
個人的には、高度成長によって伏流となった流れが、
そこにありそうな気がして、いっそう興味深い。
立原の思想は、吉阪隆正の「住居学」と似ているかもとか、
ル・コルビュジエが「海の人」で、吉阪隆正が「山の人」だったら、
立原道造は何の人だろうとか、いろいろ考えさせられた。

その後、津村さんの案内で、公園内のヒアシンスハウス(復元)を見学。
皆さんとお話する。
アートスタディーズ(*1)の第1回を聞きましたという学生さんや、
吉阪隆正展の夜話に熱心に参加された方がいたのは意外だった。
もっと驚いたのは、このブログを見て、来られた方の存在。
ほとんど知らせていないのだが…。
日常を少し離れての散歩と刺激と社交 ― 休日らしい休日だった。

ヒアシンスハウス内部

ヒアシンスハウスの内部
左手が入口、奥にベッド。ほんとうに小さな、男(の子)一人の夢の空間。

*1 造形作家の彦坂尚嘉さん、評論家の五十嵐太郎さん、暮沢剛巳さんなどを中心に行われている建築・美術の連続レクチャー。月島にあるタマダプロジェクトコーポレーションで、3か月に1回ほどのペースで開かれる。江戸東京博物館の米山勇さんらとともに、2004年11月の第1回でレクチャーした。
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