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2009.09.17
博報堂旧本社ビル、10月に取り壊し


神田錦町の博報堂旧本社ビルに、10月1日から解体工事のお知らせ。
完成は1930年で、設計は岡田信一郎。大阪市中央公会堂(1918)や現・鳩山会館(1923)、歌舞伎座(1924)や明治生命館(1934)の設計者だ。

正面は古典主義のようだが、よく見ると左右は非対称で、右手の塔屋はロマネスク風。綱形装飾を配したてっぺんの小円柱やバルコニーに見とれつつ側面にまわれば、正面の意匠が品良く変奏されている。古典主義と中世主義が破綻無く一つにされていることに感心する。

企業の本社に様式的な品格が求められた戦前期の産物。とはいえ、オフィスビルとしての効率も追求されなければならない。うっとりすることをやめて眺めれば、平面的にはほぼ箱形で、開口部まんべん無くとられていることに気づく。けれど、それを感じさせないくらい、壁面の凹凸の設定が適確なのである。

最終最強の様式主義者・岡田信一郎の意匠の冴えを示す好例なのだが…。
鳩山首相の初仕事で、買っていただくわけにもいかないだろうし。
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