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国内旅行ばかりしていたので、8月は何日も東京にいなかった気がするが、そういえば、エクスナレッジから『新・東京建築案内』という本が出たのだ。



中山英之さん、平田晃久さん、石上純也さんの描く「東京未来予想図」、建築家がらみのTOKYOスポットや、建築家の案内する東京ツアー。
五十嵐太郎さんのアンビルト東京建築史や、小説から読み解く坂口恭平さんの「立体読書とメトロポリス」も面白い切り口だ。

僕は「『東京』をつくった15人」というタイトルで、建築家や実業家のそれぞれの「東京」を描いた。これまであまり「都市」ということを考えてこなかったので、発見の多い仕事だった。
15人は個人的な関心で選んだ。以下の方々だ。
トーマス・ジェームズ・ウォートルス/辰野金吾/渋沢栄一/片山東熊/横河民輔/阪谷芳郎/後藤新平/岡田信一郎/渡辺仁/五島慶太/石川栄耀/前川國男/丹下健三/森稔/石原慎太郎

結局、この作業も細部から見て、並列的に、東京ヴィジョンの断片を歴史的に描いたことになるのだが、俯瞰する立場が無いという点では、あら不思議、本全体のテイストにぴったりとはまっている。
何せこの本、地図が一つも出てこない。だから、自分でページを歩いて見つけられる魅力に満ちている。

東京以外の場所では、まちに行くと行ったら、基本的にそれは1点に限られる。
東京だけは、完全にそうではない。
そんなことを8月に改めて感じた。

誰も東京を知らない。
不在のうちに届いていた本書は、いちばん誠実に、東京らしく思えた。

東京には中心がない。真ん中が皇居だとか、そういうことではなしに、本当に無いのだ。東京に中心がないということは、もはや東京が中心でないということでもある。それを、いち早く知った上でのポテンシャルの総和という点で、まだ中心になっているのかもしれないが。
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