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川奈ホテル01

「アート&70年代(以降)生まれの建築家」という枠組みの展覧会が、この夏は東京で2つ。
ともにレセプションが7月31日からだったので、巡ると「夏フェス」という感じだ。

大西麻貴+百田有希による「夢の中の洞窟 は、東京都現代美術館の中庭(メディアコート)にフォーリーがつくられている。かたちも不思議だが、素材感もふしぎ。見る距離によって前景化される素材感が違い、それが森のようなかたちに屈折して見飽きない。別の天気、別の時間のときに、また来たいと思った。
館内の展示スペースには、制作過程を早回しで移した映像や、プロジェクトの模型一覧。とぐろをまいたような住宅は初めて見た。
これは若手作家のサポートとして行われる「MOT×Bloomberg PUBLIC 'SPACE' PROJECT」の一環で、入場は無料。2010年の1月17日まで開かれている。

伊藤展

新建築の橋本純さんと会い、せっかくだから見に行きましょうということで、これも東京都現代美術館でオープニングの「伊藤公象展」を見に行ったら、実に大当たり。
これが土?と思う。その意味では日常的な素材を裏切っている。しかし、これほどにマテリアルそのものから出てくる形も無い。
それが五感をいたく刺激するのだ。
手を触れれば崩れそうで、触りたくなる(しかし頭では固い陶器であることは分かっている)
既知のあるいは未知の味覚を感じさせて、舐めたくなる(もちろん味などしないだろうが)
一方で、造型はスケールフリーである。ある瞬間には電子顕微鏡を覗きこみ、次の瞬間にはまだ見ぬ古代都市を俯瞰している自分がいる。
建築でいうと、大西麻貴+百田有希と、石上純也(のスケール横断感)が同時にある感じか。
それは、いい意味でシリアスではない。見ていると、隣に「ふにゃ」とか「パリン!」とか、マンガのように吹き出しを書き込みたくなる
長年の素材の追及が、崇高や自然回帰ではなく、深いユーモアへと達している。
アートというのはすごいものだと、久しぶりに思った。

藤村展

さて、表参道のGYREに移動して、「ARCHITECT TOKYO 2009」および「ARCHITECT 2.0」展のオープニング・レセプションへ。ずいぶん人がいたが、それでも一時よりは減ったという。
模型やスケッチなど表現方法もさまざまで、mashcomixによる戦後日本建築史マンガもある。
これだけの場をまとめる面倒さを藤村龍至さんが引き受けていることに、まず感服。
そして、よく見れば各展示の解説が、実に藤村龍至的文脈からの解釈だ。忙しい中でもこういうことをきちんとやるところがいい。

昔、東高現代美術館で、妹島さんや隈さんなど当時の若手建築家による展覧会が開かれたことがあって、その内容は何も覚えていないのだが、ギャラリーで建築展をするんだぁという学生時代の感慨を今でも新鮮に覚えている。
ひとまわりして、建築家がまた違う関り方でそうした場に出て行くのは、多様な波及効果が期待される意味で悪いことではない。意外な出会いが人生の夏にはあって、夏は意外と短いから、自分で楽しまないとならない。

藤村さんたちの打ち上げ
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