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坂倉準三展

パナソニック電工汐留ミュージアムで「建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン」が始まった(9月27日まで)。
ル・コルビュジエに学び、モダニズムを牽引した建築家・坂倉準三と坂倉建築研究所の仕事を集めた本格的な回顧展だ。神奈川県立近代美術館(これも坂倉の設計)の「建築家 坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間」(9月6日まで)と同時開催されている。

坂倉準三展近美

神奈川県立近代美術館の展示は、公共建築や都市計画といった坂倉の仕事全般を扱っている。パナソニック電工汐留ミュージアムでスポットを当てているのは、この館らしく、住宅とインテリア。
坂倉さんと言えば、やはり戦後の公共建築や都市的な設計の印象が強い。それに対して、個人住宅の多様な展開や、戦前から戦後に持続する家具の試行といった側面は、これまで比較的に見過ごされてきた。今回の展覧会は、それを明らかにしている。
一般受けもするし、専門家もうなる。そんな展覧会である。

7月3日のオープニングレセプションで、槇文彦さんが挨拶をされた。
槇さんの選ぶ言葉は、美しい。
平易だが、怠惰なルーティンではなく、スマートで、血が通って見える。氏の建築が思い出されるのだ。
そんな槇さんは今回の展覧会を「坂倉先生に久しぶりに会えたかのよう」、「迫力のある展示」と形容していた。

各大学が制作した住宅の模型と、多く集めてきた家具の現物が、さほど広くない会場に集約されて、火花を散らしている。そうした展示空間そのものが、「切れば血の出るような建築」(坂倉竹之助さんの挨拶)をめざした坂倉準三を伝えている。
坂倉準三が没したのは1969年。それから切らしていた“スピリッツ”が別の形でよみがえる。

2冊の図録もいい。展覧会の準備を通じて明らかになった最新の成果が、2館それぞれの図録に収められている。
ともに装丁は秋山伸さん。見る気にさせるデザインだ。
パナソニック電工汐留ミュージアムの表紙は赤く、神奈川県立近代美術館の表紙は緑。どこかで見たような・・・はっ、『ノルウェイの森』!(舞台設定は1969年だ)。

なおさら上下巻、並べて置きたくなるのである。

坂倉準三展図録赤 坂倉準三展図録緑
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