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2009.05.07
大規模開発ならではの・・・「南永田団地」

今回の「ドコノモン100選」は横浜市南区の「南永田団地」。
東京理科大学大学院・旧大月敏雄研究室の松井渓さんに教えてもらった。
(18)土地の高低を生かした棟々をブリッジで連結:南永田団地 - 倉方俊輔の「ドコノモン100選」
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/column/20090430/532373/
連載で集合住宅を採り上げるのは、これが初めて。しかし、市浦都市開発建築コンサルタンツ(現・市浦ハウジング&プランニング)で設計を担当した小林明さんは「集合住宅」という呼び方は、今でも好きでないと話す。
本来、それは単なる住宅の集合ではない。多くの住戸が、階段から公園まで、さまざまな施設を共有している。そうした共同部分の利点を生かした集まり方でなくてはならない。だから「共同住宅」とわれわれは呼んでいたと。

1970年に設計され、74年から入居が始まった「南永田団地」は、公団の中層住宅の経験を、高層住宅に生かそうとした計画だ。設計者にとっての反面教師は面開発団地であり、道設計者の「奈良北団地」(横浜市青葉区)、「神大寺団地」(横浜市神奈川区)と3連続で考えられる。ここでは土地の高低を大いに味方に付けている。

ぱっと見は、空中を飛ぶブリッジのような大胆な造形に気をとられる。逆に、細やかなタイル張りなどに親密感を感じたくもなる。けれど、歩きまわってみると、配置によって場の多様性が生み出されていることに感心する。時間的、コスト的な制約が大きいにもかかわらず…。新しい意匠ではなく、新しい計画に向かう意識と能力が、この頃にはあって、それが可能だったのだなぁと思う。たぶん、これを知らなかったら、団地についてずいぶん誤解していた。
*「建築浴MAP」(googleマップ)で所在地を見る
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