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新建築賞第25回

4月13日に新建築賞の受賞記念講演会があった。第25回となる今年は「HI-ROOMS 明大前A/路線際の長屋」の若松均さん(若松均建築設計事務所)と、「カタガラスの家」の武井誠さん+鍋島千恵さん(TNA)が受賞された。
武井さん+鍋島さんのおめでたい席であるし、この混じり気のなさを実現させた構造家は満田衛資さんなので、会場である新宿のOZONEを訪れた。

何気なく腰掛けると、隣が真壁智治さんで、今度頼まれた仕事の小打ち合わせ。お二人の講演の後、司会者である「新建築 住宅特集」編集長の中村光恵さんが、真っ先に真鍋さんを指名された。
立ち上がって真鍋さんは「分かりやすいことと、分かりえることは違う」と…。続けて言った。「分かりやすいがノーサンキューというのもあるけれど、これらはそうではない。分かりやすくて、分かりあえる作品が出てきた」。さすが巧いことを言うなぁ。

輪の家 「輪の家」(TNA)

今年の受賞作を、もし一言で表現すれば、やはり「分かりやすい」だと思う。
ただし、若松さんも、武井さん+鍋島さんも「立て板に水」のタイプではない。でも、話は伝わりやすかった。それは図式があるからだろう。言語化できるようなダイヤグラムがある。それが語ってくれる。
つまり、明快なのである。「分かりやすい」と言っても、すぐに話が終わってしまうくらいに建物が単調だということではないし、背後の話をつくって納得させてしまう類の「分かりやすさ」でもない。
「HI-ROOMS 明大前A/路線際の長屋」にしても「カタガラスの家」にしても、建物のほとんどの部分が説明できる。ほぼすべての成り立ちに完璧に一つの説明が可能だ。
当然のことながら、一つの説明ができることは、他の説明可能性を排除するものではない。むしろ、次々に説明を発見する手助けになるかもしれない。「いや、それでは言い尽くせない」という思いが次々に出てきて…。そして、もの自体がその問いにきちんと耐えられる。つまり、複雑さを織り込んだ明快さが、お二方にはあった。それが共通していた。

その共通性こそが、審査員のメッセージだった。今回の新建築賞の審査員は、北山恒さん貝島桃代さんである。
北山さんは審査方針について、「アイコニックでないもので評価したいというところがあった」と話された。「分かりにくいものを分かりやすく伝える手立てがほしい」と。「今年の受賞作は時代の変化を示しているのではないか」とも発言していたから、そこに昨年のリーマンショック以降の世の中をむしろ好機と捉え、今まで苦々しく思っていたアイコン建築ブームにそろそろ反撃してもいいですか、という意志を見て取るのは容易だろう。

そう考えると、今回の新建築賞は今年からの「新建築 住宅特集」と見事に同期するわけで、よくできていた。フォトジェニックな写真とワンフレーズのレッテルによる「新しさ」を伝えるような雑誌が昨今は席巻していたが、それもリーマンショック以降、陰りが見えているではないか。であれば・・・という思考の向きは健全だと思う。
その後、中村光恵さんとお話して、定まったフォーマットへの情報流し込みでないものを目指している、という言葉には特に共感を覚えた。定型-流し込みだと、一般誌と競合しかねない雑誌の場合は、それに伍するのは難しいだろうし、定まったフォーマットは収集する情報を事前に峻別してしまうところがあるだろうから。

「新建築」編集長の四方さんに「たくさんメモ取っていたねえ」と水を向けられたので、乗せられてブログにアップ。以上がだいたい思考の半分。残りは依頼原稿をお待ちしています(笑)。
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