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紅葉台の家03

西田司さん(オンデザイン)の「紅葉坂の家」のオープンハウスを訪れた。木造2階建ての住宅で、延床面積は70平方mほど。さまざまな部屋のボックスを組み合わせたようなつくりである。

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居間や寝室に使えるスペースだけでなく、階段室やクローゼットやテラスも同じボックスのような扱いだ。それぞれが違った内装を持っている。
デザイン上は、余計な細部をできるだけインテリアから排除しているので、スケールが見た目では良く分からない。それが狭さを感じさせないというだけでなく、人がスケールを感受する装置を視覚から体感に移している。それに上部がアーチ型になった背の低い入口も効いていた。

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もし、住宅の「延壁面積/延床面積」比を算出したら、かなり上位に来るのではないか。
西田さんは言う。「細かな部屋に分割することで、行動に必要な無駄なスペースを無くして使いでを高め、同時にそれぞれの部屋がまちにつながるようにしたかった」。
まちにつなげるというと、開放的なワンルームで、という風に直結しがちになる。けれども、部屋を細かく分割することで、それぞれが隣の路地や、隣家の物干しなどと接点を持っている。そんなつくりのほうが、この環境には向いている。確かに。

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内部を動き回ってみる。使い勝手を発見するようなスペースがたくさん用意されていて、面白かった。それは周囲のまち―木造密集地域、狭小道路とアップダウン―と、同じくらいに、発見的だ。
複雑に思えたものの中に、ふと見通しの良さや、何かの原理(考え通しの良さ)が見つかると、ハッとさせられる。特に2階の居間は、外の道と眺めがつながって、そのような質を持っていた。西田さんが「まち」にこだわる理由が、少し呑み込めた気がした。

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