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東京文化会館内部

少し前のことになるが、3/18に東京文化会館の都響定期演奏会に行った。ラヴェルには目がないので、それがお目当て。
いつもと違う席にしてみようと4階左袖で聴いたのだが、これが大当たり。演奏がというより、ここだと劇場全体の空間を、浴びているような気分になる。

東京文化会館内部03

天井と床も、ステージと客席後端もほぼ等距離なのが、いい塩梅なのだろう。ヴォリューム全体が掴まえられる。天井の湾曲、三角錐の照明スペース、垂直の壁からせり出すキャンティレバーの客席、向井良吉による音響壁面・・・大小さまざまな要素が、一度に飛び込んでくる。それが単純な統一やヒエラルキーではない調和をなしている。

東京文化会館内部02

設計者・前川國男の建築学習期の音楽のよう、と言っては単純に過ぎるかも知れないが、まあそういうことだ。こういう風につくっていたのか、と思う。
そんな最上の劇場鑑賞が、生音のBGMと共に味わえて、わずか1800円。これはお得とクールに構えていたのも最初の1曲までで、ラロのスペイン交響曲が始まった後は、演奏に集中してしまった。

休憩中も人の動きが分かるのが面白く、そのまま座っていた。ふと顔を上げると、正面上段の席で、立って館内を眺めている方がいる。暗くて良く見えないのだが、たぶん・・・帰れば分かると思って同日のブログを見たら、やはり今村創平さんだった―ご挨拶せずにすいません。
こうしたことがすぐに確かめられるのは、インターネットならではだが、2000人の中で親しく発見できるのは、実空間ならではだ。

劇場と言えば、東京の歌舞伎座の超高層ビル化について、「考える会」がメッセージを募集している。以下の通り。

【歌舞伎座改築問題】へのメッセージ募集
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 現在、東京の歌舞伎座(銀座)の超高層ビル化に対し、
「(仮称)歌舞伎座の建て替えを考える会」の結成に向けて、準備中です。
この件に関しましては、色々なご意見がおありかと思われますので、皆様
からメッセージをお寄せいただきますよう、 お願い申し上げます。
 一昨年の学習院ピラミッド校舎の折にも、賛同者名・メッセージを募集
しましたが、今回も同様に、以下のような感じでお願い致します。

・お名前(芸名・ペンネーム可)※匿名可
・ご所属・ご専門・お仕事など
・お住まいの市区町村名
 ※個人情報・メールアドレスは
  当会からのご案内・連絡のみに使用します。
・「歌舞伎座」改築にひとこと(俳句、思い出の記などでもOK)
[記入例]
・名前    :徳川家康
・職業・専門等:征夷大将軍(武士・徳川家当主)
・在所    :千代田区
・メッセージ :安土桃山の姿を「銭湯」呼ばわりとは無礼、無定見

当座第一次の〆切は、岡田信一郎命日の4月4日の前日、3日夜迄と
させていただきます。
(4日以降もどんどん、回覧・転送&メッセージ等お送り下さい。
 ただし、この日(4日)に小会合を考えております。
 上記の一次〆切までにメッセージを頂戴した方には、
 当日の会場・時間等を決定次第、お知らせ致したく存じます)

なお、メッセージの送信先は、当方(ML発信元)宛ではなく、
下記宛にお願い致します。

【賛同者メッセージの送信先】
 kabukizafan@goo.jp(専用アドレス)
 
[※試験運用中ですが、投稿用フォームでも受け付けています]
 http://homepage1.nifty.com/tanboh/kabukimail.htm(フォーム)

現在は、従前からの会検討のメンバーに加え、小坂中央区議、佐藤信之、
田島恭子、川西崇行ら(敬称略)他数名が、メールでの賛同者を募集し、
意見交換・会の準備をしております。また、木元教子先生、永六輔先生
にも会に加わって頂くことになりました。
(※世話人は随時追加、事務局は編成中です)

※また、頂いたメッセージは
 http://homepage1.nifty.com/tanboh/message.htm
 http://blog.goo.ne.jp/kabukizafan/
で試験的に一部公開を始めました。ご参照下さい。

【発会の趣旨】
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「歌舞伎座建て替え計画の見直しを!」 2009年3月
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           (仮称)歌舞伎座の建て替えを考える会

 松竹株式会社及び株式会社歌舞伎座は、現在の歌舞伎座の建物
(設計:岡田信一郎、改修:吉田五十八、国登録文化財)の、都
市再生特別地区内の容積割増を得て、超高層への建て替えを公表
しています。また、東京都も、事業者の届出に沿ってこの計画に
沿った都市再生特別地区についての都市計画手続を進めています。

 2009年 1月28日に新聞各紙で報道された計画案(パース)によ
りますと、「新築・歌舞伎座」は地上約 150メートル、29階建て
の超高層ビルになります。低層部分の劇場入口は「現在の建物の
イメージを継承したデザイン」(レプリカ)とし、唐破風など一
部の意匠は継承を図るとしていますが、ガラスを多用し、細部の
装飾を省略するというもので、現在の特徴あるデザインとは「全
く似て非なる」意匠・計画案になってしまっています。

 私たちはこの建て替え計画の見直しを強く求めるものです。
 理由は大きく二点です。まず一点目は、歌舞伎座が貴重な文化
財であることです。現在の歌舞伎座は、関東大震災からの復興、
戦災からの復興という都市の記憶を留め、東京名所としても多く
の人々に親しまれてきた重要な歴史的建造物です。
 破風屋根の桃山様式風の外観は、和風意匠の鉄筋コンクリート
造の歌舞伎専用劇場として、設計者が考えに考えた末にたどりつ
いたもので、まさに歌舞伎の殿堂にふさわしいものと考えます。

 次に、各種設備の劣化、バリアフリーなどの対策は「全面建て
替え・超高層ビル化」は直結しない、ということです。
 現在の歌舞伎座には「老朽化」「耐震性」「バリアフリー」等
の問題が指摘されています。しかし、文化財である歴史的建物の
保存(使いながら残す動的保存)と、耐震性・バリアフリー対応
などの必要を両立させた事例は数多く存在しており、根本的に、
建て替えについて「再検討」の余地があります。

 事業者に対しては、現在発表の超高層建て替え及び一部レプリ
カの計画を見直して、所有者として文化財の保全の責務を全うす
べきこと-各種設備の地道な更新・改善、免震制震等の活用-地
下との連絡改良等による保存措置を講じること。新築計画に関わ
るデベロッパー、設計者についても、事業者の責務を全うして、
然るべき計画案の見直しを指示すること。

 また、東京都・中央区・文化庁等に対しては、現に文化財であ
る、東京を代表する歴史的建造物の保全・保存を前提とした諸審
議、行政内での検討を強く求めるものです。
 特に、東京都には都議会都市整備委員会、東京都都市計画審議
会等での審議において、いわゆる「都市計画諸制度」「都市再生
特区」の濫用を戒め、慎重な審議を強く求めるものです。
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