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2009.03.30
「国宝 阿修羅展」の裏側

明日3月31日から東京国立博物館 平成館で開催される「国宝 阿修羅展」(6月7日まで)。盛んに宣伝しているので、気になっている方も多いことでしょう。
展覧会のみどころやねらい、会場構成のコンセプトなどを東京国立博物館特任研究員/興福寺国宝館長の金子啓明さんに伺い、まとめた記事がwebマガジン「artscape」にアップされている。
東京国立博物館 金子啓明氏に聞く:「国宝 阿修羅展」─古代彫刻から見る天平文化 - artscape
http://artscape.jp/focus/1201195_1635.html
依頼を受けた時には「無茶振りか」とも思ったが、面白そうだったので引き受けた。実際にお話を伺うと、空間や都市とのつながりは予想以上だった。現代の社会で有効な美術の役割とは何であって、それをどうマネージすべきか。現代美術にも通じる考えが、日本の仏像彫刻に的を絞った長年の専門研究から紡ぎ出されていることに興趣がわいた。
金子さんの言葉には、いちいち納得。例えば、
(1) 照明デザインや展示装置を工夫したり、(展示とは関係無いが)タレントを起用した公認ファンクラブのページをつくったり。それは民営化時代の入場者数至上主義に迎合したポピュリズムではないか。
(2) 仏像はアート作品ではなく、信仰の対象としてつくられた。それを現地から持ってきて、美しい美しいと鑑賞する。それは西洋中心主義的な見方ではないか。
といった、容易に思いつくような「批判」は折り込み済みなのである。
頭のいい人だった。そこには展覧会というプロジェクトが社会を少しでも変え、歴史を動かしていくのだという自信と責任があった。お話ししていて、とても楽しかった。
混んでなさそうな頃に見に行こう。
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