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2009.03.27
東京コンクリート建築ツアー

日本コンクリート工学協会関東支部若手会21が主催する「東京コンクリート建築ツアー」を昨日(3月26日)実施した。3月13日の記事でも公募し、21名の方にblog経由で参加していただいた。
空は青空。東京駅近くの鍛冶橋駐車場から出発する。伝統と信頼のブランド「はとバス」。バスの中はシンプルで広い。最近のは、ガラスのシャンデリアなどは見られないのだな。

まず「築地本願寺」(伊東忠太、1934)へ。お寺の方にご説明をいただき、パイプオルガンの音色も拝聴する。本堂内部の写真も撮って良いという。そんな開放性は、そもそも1934年に本堂をこうした形式で建てた時から、お寺に埋め込まれている。
さらにさかのぼると、いち早く現在の龍谷大学をつくり、洋風の校舎を建てた明治初期にさかのぼる。近代日本仏教史を軸にとれば、伊東忠太の存在もその中の一幕である。

象がいた。
「片倉ビル」(旧片倉館、清水組、1926・37)、「東京大栄ビル」(旧蛇の目ミシンビル、前川國男、1965)、「京橋三丁目ビル」(村野藤吾、1978)を続けて外部から説明。
見るたびにテナントが減っていた「京橋三丁目ビル」はすでにほぼ、もぬけのから。周囲では再開発が進む。
二重橋前楠公レストランで食事。建物は隈研吾さんのようなルーバー和風だが、まさかね。

食後で眠くなるかと思ったら、「東京カテドラル聖マリア大聖堂」(丹下健三、1964)は、さすがに目が覚める。
ステンレスで覆われた外観は、双曲放物線という数学的法則性が、そのまま地に降り立ったかのよう。内部に入ると一転コンクリートの地肌が現れて、地をうごめく人間の労働を感じさせる。こうした打ち放しの質は、1960年代でないとできない。
外部のヴァーチャルから、ヴァーチャルとリアルとが、まるでルビンの壷のように高速交代する内部へ。そんなコントラストは2007年の改修で、いっそう鮮やかになった。全盛期の丹下健三と、教会というプログラムが幸運にも出会い、ある種の建築体験の極を達成した感がある。

そこから「大学セミナーハウス」(吉阪隆正+U研究室、1965-)までは、予定通りの1時間20分。
車中では以前に監修・出演した山形テレビ制作の番組『妖怪を見た男~近代建築の巨人・伊東忠太の世界』のDVDを流す(過去の関連記事)。
ユニットハウスは、だいぶ傷んでいた。次回の「ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス」で考えなくてはいけないだろう。
吉阪隆正さんについて詳しくは、拙著『吉阪隆正とル・コルビュジエ』

「多摩美術大学図書館」(伊東豊雄、2007)までは、すぐ。電車+バスだと両方をまわるのは大変だ。バスのありがたみを実感する。
《理念》と《現実》の両義という側面は「東京カテドラル聖マリア大聖堂」を引き継ぎながら、さらにそれを細分化して、合間に家具やインテリアのデザイナー、周辺環境や私たちといった他者が参加する余地を加えている。そこに現代のコンクリートの質や免震技術も味方に付けて。
背景などは『つくる図書館をつくる―伊藤豊雄と多摩美術大学の実験』

予定通りのコースをまわって、バスは東京駅へ。途中、以前の記事で触れたスーパーハウス、を2つ連ねた理容室を見つけた。車窓から撮影。
やや欲張りすぎて駆け足になってしまったが、メールのやり取りした無かった方々ともお話できた。時代順にまとめて見られたので、個人的には嬉しかった。
こうした機会を与えてくれた日本コンクリート工学協会関東支部若手会21の方々、ご参加の皆様、ありがとうございました。
昨日はどうもありがとうございました。JCI若手会21の伊藤です。楠公レストランは北河原温氏の設計です。設計時の名前は「皇居外苑休憩所」です。氏のHPでは2002年の設計になっていますね。たいした情報ではありませんが、一報まで。しかし、なかなか内容の濃い見学会で非常に楽しめました。これも講師の倉方先生のおかげです。また、何かの縁もあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
2009/03/27 Fri 11:12 URL [ Edit ]
倉方俊輔
昨日は素晴らしい見学会をご用意いただき、ありがとうございます。晴れて良かったです。
レストハウス、北川原さんの設計だったんですか。知りませんでした。ご教示ありがとうございます。
見学会では、コンクリートにまつわる皆さまのご見解を各所でお聞きすれば良かったと、先ほど少し反省しました。
また機会がありましたら、つくり手や研究者の側からのご意見も聞かせてください。
レストハウス、北川原さんの設計だったんですか。知りませんでした。ご教示ありがとうございます。
見学会では、コンクリートにまつわる皆さまのご見解を各所でお聞きすれば良かったと、先ほど少し反省しました。
また機会がありましたら、つくり手や研究者の側からのご意見も聞かせてください。
田中 洋一
昨日はありがとうございました。
この建築浴のおすすめから、一般枠として、ずうずうしく参加させていただきました田中です。
現地で倉方先生から各建築の考え方をお聞きでき、とても意義のある時間を過ごせました。
過去から現代へ、時間軸を追って一部のコンクリートの建築を拝見できたことは、技術の発展を感じると同時に、人のもつ移ろいのようなものも垣間見えたような気がして、非常に楽しかったです。
また講演会など拝聴させていただければと思っております。何卒、よろしくお願いいたします。
この建築浴のおすすめから、一般枠として、ずうずうしく参加させていただきました田中です。
現地で倉方先生から各建築の考え方をお聞きでき、とても意義のある時間を過ごせました。
過去から現代へ、時間軸を追って一部のコンクリートの建築を拝見できたことは、技術の発展を感じると同時に、人のもつ移ろいのようなものも垣間見えたような気がして、非常に楽しかったです。
また講演会など拝聴させていただければと思っております。何卒、よろしくお願いいたします。
2009/03/27 Fri 14:44 URL [ Edit ]
北村 俊平
昨日はありがとうございました。コンクリート建築ツアー本当に楽しかったです。
村野さんの京橋3丁目ビルのもつ「ヘンさ」が特に印象に残りました。あの時代にあんなものをつくっていたとは…
倉方さんとお話ししたかったのですが、あがり症のためお話し出来ず、残念でしたが、大学セミナーハウスの変遷など興味深いお話を伺うことができ楽しい時間を過ごせました。
今後、講演会やイベントなどがありましたら、是非参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
さっそく『吉阪隆正とル・コルビュジェ』を読み始めました。早く建築の勉強を始めたくなってきました。
村野さんの京橋3丁目ビルのもつ「ヘンさ」が特に印象に残りました。あの時代にあんなものをつくっていたとは…
倉方さんとお話ししたかったのですが、あがり症のためお話し出来ず、残念でしたが、大学セミナーハウスの変遷など興味深いお話を伺うことができ楽しい時間を過ごせました。
今後、講演会やイベントなどがありましたら、是非参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
さっそく『吉阪隆正とル・コルビュジェ』を読み始めました。早く建築の勉強を始めたくなってきました。
2009/03/27 Fri 18:50 URL [ Edit ]
倉方俊輔
田中様
昨日はご参加ありがとうございます。
各建築を年代順に、しかも1日で見て回ったことは私も無かったので、いろいろと新しい考えも浮かび、それも交えて話させていただきました。例えば、東京大栄ビルなども、技術の発展と、それだけではない人の性格の両方が感じられて、今見るとまた興味深いものですよね。
お楽しみいただけたと聞いて、ほっとしました。またお会いできることを心待ちにしています。
昨日はご参加ありがとうございます。
各建築を年代順に、しかも1日で見て回ったことは私も無かったので、いろいろと新しい考えも浮かび、それも交えて話させていただきました。例えば、東京大栄ビルなども、技術の発展と、それだけではない人の性格の両方が感じられて、今見るとまた興味深いものですよね。
お楽しみいただけたと聞いて、ほっとしました。またお会いできることを心待ちにしています。
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