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昨日の記事に載せた3月22日のシンポジウム「東京・大阪中央郵便局の文化財的価値」の最終版プログラムを見ると、3月11日の時点で「調整中」だった文部科学省からの参加は結局、無い模様。その直後に「登録有形文化財」での急転直下の幕引きに手を貸したような報道がなされたわけだが、そうでは無いに違いない。その説明をお聞ききしたかったので残念だ。

文部科学省(当時・文化庁)在籍時に「登録有形文化財」の設立に深く関わった工学院大学教授の後藤治さんが、昨年『都市の記憶を失う前に 建築保存待ったなし!』(白揚社)という本を上梓した。後藤さんらしく文体は簡潔で、構成は明瞭だ。このように読みやすく、内容の詰まった良書を新書版で出す。多くの人に考えてもらいたいという思いが伝わってくる。

第3章のタイトルは「文化財保護法の失敗」という少しショッキングなもの。同章でこんなことを書いている。「1980年代になっても、国宝・重要文化財に指定される建造物の大半は、寺社の建物だったのである」。民活によって都市の大改造が進んだ重要な時期に、文部科学省(文化庁)に都市への意識が欠如したこと、昭和を含む近代建築の保護措置が進展しなかったことが、厳しい現状を招いたと言うのだ。



様々な失敗があるなかで、文化財保護における最大の失敗のひとつは、この時期に「都市」という視点を欠いていたことではないかと思う。〈中略〉
危機的な状況の文化財を救うという点でいえば、大都市にあるものほど、保存に対する優先順位は高いはずであり、保存し継承していくための工夫が必要だったはずである。
ところが実際に、大都市圏での保存が優先的に行われ、かつ、そのために特別な工夫がなされた事実はない。例えば、東京都内や大阪市内には、伝建地区は現在も一箇所も存在しない。長い歴史をもつ先進諸国の首都のなかで、保存地区が存在しないのは東京ぐらいのものである。
後藤治『都市の記憶を失う前に 建築保存待ったなし!』(白揚社、2008)pp.128-129



それが今の「弱腰」の先例をつくり、いまだに「先例」を作り続けている。文面ではそこまで言っていないが、忸怩たる思いは容易に伝わってくる。
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