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来日したジェシー・ライザー+梅本奈々子さんに取材。英語でのインタビューは初めてだったので疲れた。しかし、ぜひ直接にお話を伺いたく、ご無理を申し上げてお時間を調整していただいた。

お2人は建築設計事務所のRUR Architecture P.C.を主宰し、ライザーさんはプリンストン大学で、梅本さんは香港大学等で教鞭をとっている。
2006年に刊行した『アトラス─新しい建築の見取り図』(原題 : Atlas of Novel Tectonics)が昨年10月に翻訳された。手に取ったら、面白かった。橋本憲一郎さんの訳がこなれているのもいい。理論のための理論ではなくて、自分たちはこう考え、それに向かってこういうやり方をしているよということを告げている。建築が何かの終わりではなくて、何かの始まりであるためには、どうあるべきか。そして、それをどうつくるか。そういう永遠の課題・・・というのは言い過ぎにせよ、様式主義やらモダニズムやら経済合理主義やら、ともあれ一定の規範があるとみなされた時代が終わると立ち現れてしまう本質的な問題に対して、真摯に取り組んでいるように私には思えた。
真摯とは、論理においても見せかけの整合性に頼るのではなく、まだ分からないことはまだ分からないという態度をとることだ。その中でも最大限に考えを伝えようとした時に、少し不思議な図版や箴言が現れるのだろう。ここにはフランツ・カフカの一説が引用されたかと思えば、カンパニョーロ社のデルタブレーキが現れる。それらは単なる諧謔でなければ、書物の息抜きでもなく、読者の深読みに望みを託したいかさまでもない。現時点ではそれでしか伝わらない本質なのだと思う。
中身は全然違うが、感触としては、吉阪隆正さんの本と似ていた。『住居学汎論』とか『生活と形(有形学)』とか。図版の意外性もそうだ。教鞭と実践の中からまとめられたという本の出自が、ある程度の共通性を生み出しているのかもしれない。

「毎年、学期の始まる前に売れる。アマゾンだとこんな感じだよ」とジェシー―とこちらもすっかり米語調―は手で波を描く。
「こわい人だと思われていることが多い」と梅本さんは笑う。クーパー・ユニオンで学び、広範な知識を消化した『アトラス─新しい建築の見取り図』を著した。理論の人という先入観を抱いてしまうからだろう。
実は私もそうで・・・建築雑誌の編集委員をご一緒している名古屋工業大学大学院准教授の北川啓介さんに事前にメールしてみた。北川さんは1999年にライザー+ウメモト事務所に留学されて、今回の来日でも裏方で汗を流している。彼から「お人柄もすっごくいい方ですよ☆」といった答えが返ってきたので、だいぶ気が楽になった。

取材の内容は措いておいて、ジェシー・ライザー+梅本奈々子さんの今回の来日の主目的はプリンストン大学建築学科のジャパン・スタジオ。妹島和世さんに代わって、お2人が今年から3年間担当されることになった。今日3月17日は東京大学で、明日18日は京都造形芸術大学で、なんとも豪華なシンポジウムが開かれる。
東京大学のほうはすでに定員に達したので締め切ったとのことだが、1部が鈴木博之さん、難波和彦さん、隈研吾さんなどによる「メタボリズム」再考、第2部の討論でジェフリー・キプニスやスタン・アレンなどと共にライザー+ウメモトも登場する。
京都造形芸術大学のほうには、磯崎新さん、浅田彰さんなどなど。こちらは定員300人、当日先着順とのことで詳細は以下に記されている。

東京大学&京都造形芸術大学―プリンストン大学 都市デザインシンポジウム2009:イミネント・ドメインズ Imminent Domains - Realkyoto
http://www.realkyoto.jp/index.php?itemid=774

訳者の橋本憲一郎さんによる『アトラス─新しい建築の見取り図』の紹介 - 建築系ラジオ r4
http://tenplusone.inax.co.jp/radio/

北川啓介さんが記すライザー+ウメモト事務所の思い出 - 「建築雑誌」2008年2月号
(「建築を逆照射する方法論の礎 : ライザー+ウメモト事務所(<連載>海外に学び日本に学ぶ)」の右の「本文: CiNii」をクリックするとPDFで開きます)
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN00079427/ISS0000420071_jp.html
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