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平田晃久さん@南洋堂02

遅ればせながら、平田晃久さんからの献本に御礼。
平田晃久さんの初の著書である『animated』の出版を記念して、3月11日に南洋堂でレクチャーが行われた。松田達さんの進行で、同書の10のキーワードが改めて語られた。

南洋堂の2月の月間売り上げでも「他を大きく引き離してダントツの1位」という同書。「開かれた原理」、「人工という自然」といった10のキーワードを提示し、それに関連した事例を古今東西の過去と自身の作品の中から集めている。各図版にはあくまで主観的、でありながら平明、そして深い短文が添えられる。
なるほど、内容と形式が合った本だ。
本も建築も、どこかに終わりが無くては成立しない。でも、その時に、外から枠組みを決めて、トップダウンで内容を納めていくのではなく、内から要素が手を結んで、全体ができるようにしたい。そんな『animated』に垣間見える著者の意向は、建築家としての意向でもあるだろう。
人間には残像がある。それが音楽の体験を可能にする。肉体的および精神的な記憶が無ければ音の連なりが音楽をなすことはない。同じような残像が建築の体験をつくり、読書の体験を形づくる。これらの経験はどれも単線的であるはずだが、鑑賞に耐える質を持ったものは、そうではない。もっと立体的である。内から手を結んだものは、要素のつながりが単純な隣接関係だけに解消できない。この本の中の言葉を使えば「対角線的」なのだ。

平田晃久さん@南洋堂01 平田晃久さんお薦め本『animated』関連書籍

では、そうしたものをどうやって生み出すか。平田さんがこだわるのは「原理」、誤解を生まないために正しく本から引用すると「内発的な原理」だ。
『animated』にしても、見開きの各要素は、最初に書いたように平明に、原理として解説しようとしている。できる限り、詩的な表現に頼らないで行きたいという決意が見て取れる。
みんな―これには「若手建築家」でも「70年代生まれ」でも「現代を生きる人々」でも適当な言葉を代入できるだろうが―が、ぼんやりと強く感じていることを、はっきりと意識できるように表現しようとする、ロゴスで。そこに、この建築家の「みんな」と違った良点があるのだと、レクチャーを聴きながら考えた。
通りに面したガラスには『animated』88-89頁の図版が大きく描かれていた。前日の夜中に平田さんが足場に上ってペンをふるったという。半分「人間」半分「動物」は、作者の自画像だろう。

平田晃久さん@南洋堂03

しかし、開かれたものを生み出す上で、そこまで「原理」にこだわる必要があるのか? 会場には大西麻貴さん、百田有希さん、南後由和さん、たかぎみ江さんなどもいらしていた。大西さんと、たかぎさんの質問は、そうした点を巡っているように感じた。
南後さんは、応援と疑問の2つ。応援のほうは「内発性は単なる形の生成だけでなく、建築を使う側の経験の論理をどうつくるかという問題にも展開できるのではないか」といったことで、これはそうだと思う。つくるとつかう、原理を生み出すと解釈するの間に分割線を引くことができないという認識が―説明ははぶくが―現在的で、最後に当てられて僕がコメントした非線形科学の話とつながる。
後者は、平田さんが惹かれるという「伝仁徳天皇陵」からの切り込みで、そこにはスケールの問題も関係しているのではないかという質問。平田さんは「スケールレスでも同じ展開にはならないと思う」と答えていたが、「gallery. sora.」の解説では、このスケールではこれで行けるといったことを口にしていたので、この点では迷っているようにも思えたのだった。

平田晃久さん@南洋堂04

20時から始まり、21時半終了の予定が、内容の充実で22時をまわる。上階でビールで乾杯。
ぽむ企画の「右の人」たかぎさんとは今日が初対面。最近は積極的に行動しているのだと。確かに、肉食系のごとく建築を狩ってらっしゃる、今年の「ぽむ日記」は。
大西さん、百田さんは、そろって埼玉県立近代美術館の「近・現代建築探検ツアー」に応募したけれど、落選したとのこと。ごめんなさい、公平なんです。
百田さんは事務所に入る前にと、昨日まで1か月間の海外旅行に出ていたらしい。バングラデシュでダッカのルイス・カーンを見てきたと話す。いいなあ。
五十嵐太郎さんが選者になり、宮沢洋さんがイラストを描いた「シャッフル!日本建築」という建築トランプが南洋堂から出ている。それを囲んで、絵札にある建築家イラストの建築元ネタ探しで盛り上がる。塚本二朗さんが加わったら、急に分析が精緻に。塚本さんもすごいが、描いた人もすごい。
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