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早川倉庫01

2月28日に熊本大学建築学科・田中智之さんのスタジオの講評会が熊本市萬町の早川倉庫で行われた。明治初期に建てられた2棟の木造建築が、今も現役なのだ。

「一号倉庫」は明治11(1878)年、「二号倉庫」は明治13(1880)年の竣工。もとは岡崎酒店酒類醸造場としてつくられた。大正時代から早川家がこれを用い、和傘・履物の卸売などに使われた後、現在は貸倉庫として使用されている。
以上のような歴史的経緯は、崇城大学の磯田桂史准教授の研究室によって研究された。28日は講評会と共に「『保存』を越える何かのために」というタイトルで講演させていただいた。磯田さんをはじめ先生方も来場されていて身が引き締まった。

早川倉庫08

「一号倉庫」と「二号倉庫」は、外観からはほぼ同じようだが、架構の違いが自然と空間の違いに結びついているのが面白かった。構造である意匠である木材は風雪を味方に付け、何に転用したとしても負けないような存在に感じられた。自由度の高い《建築》が、そこにあった。

早川倉庫07 早川倉庫03

敷地には他に「本宅」が建っている。そちらも早川倉庫の早川礼三さんにご案内いただいた。大きな木造建物だ。一部は倉庫に使われ、一部は改造して住まいにされている。
中に入って驚いた。一つは架構の想像以上の豪放に、もう一つはリノベーションのセンスの良さにである。

早川倉庫05 早川倉庫06

露わな小屋組は、そのままでは決して人に優しくない。自らの原理で確固として建っている。そこから扉を一枚隔れば、ヒューマンスケールの住まいである。いわゆる日本の「民家」風ではなく、率直さだけを通底させたようなインテリアだった。
木材を早川さん自身が磨き上げ、職人に指図して改装されたという。生まれた時から横にあるからこそ、何が似合うのかを熟知しているのだ。

早川倉庫02

豪放と繊細が、アンチヒューマンとヒューマンがお互いを支え合っている。民家はこうしたことも可能にする。まるで「上原通りの住宅」(1976)である。篠原一男さんにおける「伝統」とは、こういうことだったのかと知った。


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