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仙川の住宅02

たまたま最近、オープンハウスづいている。2月15日はpointの「仮称 仙川の住宅」のオープンハウスに出かけた。pointの長岡勉さんと田中正洋さんには、2008年9月に行われた第5回「ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス」ワークキャンプ(過去の記事)にお越しいただき、その時のレクチャーで言われた住宅が完成したのである。

仙川の住宅03

建坪が8坪の小さな住まい。その中に10のレベルの違うフロアがある。
ファサードからして、階段が主役であることを予告している。階段の付いたウッドデッキ。それが斜めに切られているのが「らしい」と思った。大地と完全に切られて浮いているのでも、しっかりとつながったわけでもない曖昧な建ち方が、建築本体ではなく、付属物といえるウッドデッキで表現されている。それが自転車との関係で「頭隠して尻隠さず」(長岡さんの説明)な、かわいい風景を出現させてもいるという、pointらしいポイントではないかと。

仙川の住宅04

平面の中央に位置する階段がフロアをつないでいる。外光や高さの関係で、それぞれの場所の性格が異なる。

仙川の住宅05

一番下の寝室には「にじり口」。効果的なお遊び。

仙川の住宅06

これだけ小スケールだと、階段も身体に近接したモノとして家具的、プロダクト的な役割を果たす。もちろん、pointはそれを積極的に活用している。

仙川の住宅07

GL+1900にキッチンがある。そこから上は階段が踏板だけになって、視線が通過する。裏側を見れば分かるように、階段は物が置ける棚でもあり・・・

仙川の住宅08

親柱の下端にフットライトが仕組まれて、家具から建築のスケールを連続させている。

仙川の住宅09

最上部には、開放的な子供室が位置する。スキップフロアなので、落下防止のためにどうしても手すりが必要になる。これもまた、単なる建築の部位としてではなく、触覚化されている。手すりカバーのデザインは木原佐知子さん(sunshine to you!)

仙川の住宅11

こうした作り付けの建具も、建築仕上げと連続した素材になっていて、しかも、扉を設けないつくりである。
だから、ここにいると、さまざまな「棚」が集まって空間になっているように感じられる。各フロアの床も、階段の踏板も、こうした建具の仕切りも、大中小の差はあれど、すべて棚の横板で、その作り付けに配慮することで、いろいろな所に棲みつける住居が成立している。

仙川の住宅01

靴を脱ぎ、いろいろなものに触る、私たちならではの住まい。繊細で、TPOと一緒になって意味が発生する茶道具のような茶室を、ふと思わせるような住まい。
その楽しさを満喫した上で、ではそこで変わらずにある、建築的なもの、建築でしかできないものとは何なのかと問うと、少なくともこの住宅に関しては、それを知るのに(引き渡し前の)オープンハウスでは早すぎるし、短すぎると感じたのだった。
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