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2009.02.13
安藤忠雄ワールドの「U-Tsu-Wa/うつわ」展

東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで今日から始まる「U-Tsu-Wa/うつわ」展(2009年5月10日まで)。
2月12日のプレビューに出かけた。
アート展なので、気分はアウェイである。鑑賞に専念できる。
今回は、木をくり抜いて「うつわ」を創るエルンスト・ガンペールと、魅惑的な窯変のルーシー・リィー、形が生き物のような陶作家ジェニファー・リーの3人展。
三者三様ながら、どれも生命感にあふれて見応えがあるのだが、もう一人の主役は安藤忠雄氏だった。
会場構成を安藤忠雄氏が手がけている(ヴィジュアルディレクションが杉浦康平氏)。さすがに自身の設計した21_21 DESIGN SIGHTの中だけある。見事に決まっていた。
地下に降りる。最初のギャラリー1にエルンスト・ガンペールの作品が配されている。部屋に入る以前から、打ち放しコンクリートに空いた孔から中を見せるという心憎い演出。
しかし、ギャラリー1に入ると、前に進みづらい。直接的にはプレビューが人でごったがえしているためなのだが、間接的には広い会場の一部をジグザグ型に区切って通路にしているため。この意匠が、ギャラリー2の後の薄暗いジグザグ通路に反復することになる。
メイン会場であるギャラリー2に移ると、視界が開ける。先ほどのギャラリー1では氷の結晶の上に「うつわ」が配されていたようになっていたが、こちらは水の上。
拡がる水は、その形状、素材感、スケールとも、ギャラリーにあらかじめ据えられていたもののようだ。同じさざ波の上にルーシー・リィーとジェニファー・リーのうつわが点在している。両者の境をなしているのは「楕円形」。「うつわ」に特に関係のない感じもするが、安藤忠雄氏のトレードマークの一つである。
作品はすべて、3人の作家それぞれの生まれ星座を中心とした星の配列をもとに配置されている。リーフレットには「三者三様、うつわ宇宙…」とある。作品の一点一点がまさに「点」として、安藤忠雄氏の「宇宙」を構成していた。
近くに寄れば「うつわ展」、遠くに眺めれば「安藤忠雄展」。一粒で二度美味しい展覧会だ。安藤ファンも、ぜひ。
会場でトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんに出会った。お話すると、次回5月29日からの山中俊治ディレクション 「骨」展の会場構成を手がけるとのこと。「注目の10人」の取材の時にお聞きしながら、まだ書けなかったのだが、今年はトラフ建築設計事務所の大きなものが色々できる。八束はじめさんにもお会いした。こちらも大きな、どちらかというと「無形」の「アーキテクチャ」のお話。

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