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Nowhere but Hayama02

葉山は、暖かく、東京から近く、傾斜が強いのですべて極上の土地が全部でもわずかしかないのが、素敵だ。
それを実感する吉村靖孝さん(吉村靖孝建築設計事務所)の「Nowhere but Hayama」。2009年2月8日のオープンハウスを訪れた。
某一流企業会長の別荘として使われていた日本家屋に改修を施し、ホリデー・ホームとして使用するというプログラム。
「ホリデー・ホーム」という言葉はまだ耳慣れない。運営にあたるNowhere Resortのことばを引用しよう。

「ホリデー・ホームとは一週間単位で借りる一軒家です。
 ホテルやリゾートマンションとは違い、
 誰にも邪魔されることなくのんびりと
 ご自分の別荘のようにお過ごしいただけます。」

同社代表取締役の吉村真代さんは話す。
「別荘のオーナーの方も代替わりして、息子さんの代になるとあまり使われなくなってしまうことも多い。日本家屋は手入れなどが大変ということもある。そういったところをお引き受けできるような、新しい別荘の形があるのではと考えた」
「Nowhere but Hayama」は、建築のリノベーションであり、葉山という場所のリノベーションであり、別荘という制度のリノベーションでもあるようだ。

Nowhere but Hayama01

今回の改修にあたっては、木造2階建の建物内に箱形(イエ型)の耐震要素を4つ挿入している。
イエ型によって新たに生み出された空間が面白い。それ以上に、従来の和室部分に手を付けなくて済んだことが大きい。イエ型が地震力を負担するので、縁側に面した和室の開放感はそのまま温存。
日だまりが安心して外へと開かれているのも、この場所ならではだ・・・わけは訪れると納得する。

Nowhere but Hayama04

では、それがデザインによる、建築/葉山/別荘の価値の「保存」だとして、「展開」はどこにあるのか?
その点で、新たに加えた要素は、特に興味深かった。

Nowhere but Hayama05

例えば、新設された階段の踏板。「板」というには、あまりに存在感のある木材だが、それが構造の工夫によって(全体の構造設計を担当した構造家の鈴木啓さんは、こんなところにもアドバイスをくれたという)、浮いたように取り付けられている。
自然の年輪と人為の意匠が絡み合っている。スマートなだけではない、程よいアクと言えるのではないか。

Nowhere but Hayama06

2階の浴室の目隠しも同様の感触だ。視線に引っかかるような素材。遠目にはツタか何かのように見える。

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自然石に覆われた浴槽も、一瞬、旧来からのものかと思ってしまう。デザイナーが手がけた最新の・・・というよりは、少し懐かしい温泉等を彷彿させるからだ。

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言ってみれば、これらも「数寄屋」ではないか?
吉田五十八のような近代数寄屋ではない。抽象化に行き過ぎない、近代の多様な数寄屋である。
銘木などの素材がこれ見よがしに現れたり、大工技が見せ所だったりする数寄屋。料亭や別荘で、そうしたものを目にしたことはないだろうか。そんな忘れがちな系譜が拾い上げられ、アクを適度に調整した上で、新たな意匠でアウトプットされているように思えた。

「Nowhere but Hayama」は、新たなビジネス/デザインモデルであることはもちろん、加えて「和風別荘」という資本主義社会たる近代日本の静養の形が、きちんと保存・展開されている。プログラムもデザインも、場所を細やかに読んだ結果であることに、すっかり感心。天気も良かったので、ついつい長居してくつろいでしまった。

Nowhere but Hayama08

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