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2009.01.28
江戸東京たてもの園で「建物のカケラ - 一木努コレクション」展

江戸東京たてもの園で「建物のカケラ - 一木努コレクション」展が始まったので、行ってきた。
建物は生まれ、やがて消えゆく。約900箇所の解体現場に赴き、失われる建物の断片を救い出すこと40年の「カケラ」コレクター。一木努さんの個人コレクションをお蔵出しした展覧会だ。

まずその量に圧倒された。銀座煉瓦街の基礎レンガ、鹿鳴館の杭、帝国ホテルの装飾レンガ、吉阪隆正邸の玄関床タイルといった建築史上で著名なものから、一木さんのふるさとである旧下館市の消防署やなじみの銭湯のタイルまで、展示総数は約700点にもおよぶ。
東京主要部にあった建物のパーツは地図のように構成され、「カケラの街」になっている。見る人によって、琴線に触れる断片も違うはずである。

「建築雑誌」の編集長を藤森照信さんが務めていた2年間、毎号の表紙に一木努コレクションの写真が使われていた。撮影が増田彰久さん、表紙デザインが南伸坊さん。歴代の「建築雑誌」の中でも印象深い表紙だったのだが、その表紙と現物を並べた展示も今回あって、見比べてみて興味深かった。

加えて、今回の展覧会が特徴的なのが「触れる」、「撮れる」、「読める」ということ。
「触れる」というのは、メイン会場の入口部分の展示で、ここにあるパーツだけは手を触れることができる。実際の肌合いやカーブの具合などが分かる。
「撮れる」は、会場の中が撮影可能だということ。「カケラの街」をいろんなアングルで撮ると、断片の迫力も増してくる。
「読める」というのは、訪れるともらえる資料。カタログ代が要らない無料のパンフレットなのに、情報が実に詰まっている。オールカラーの32ページで、カケラのそれぞれの来歴や解説が読める。これだけで、たてもの園入園料の400円はするだろう、普通。
会場でじっくり眺めた後、帰ってまた楽しめるのだ。
同展は2009年3月1日までで、毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)は休館。

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