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INAX REPORT177_01 INAX REPORT177_02

「INAX REPORT」の第177号が刷り上がって、送られてきた。
同誌には、2006年の第168号「生き続ける建築」という第1特集で声をかけていただき、博士論文としてまとめたばかりの伊東忠太について、まとめて書く機会を得た。

今度は第2特集の「著書の解題」に寄稿した。この第2特集は毎回、建築家の内藤廣さんが1960~70年代の建築界をつくった ― その昔は書籍が建築界をつくるということがあったのだ ― 書籍の著者にロングインタビューを試みるというもの。

今回は尊敬する=畏怖する建築史家である伊藤ていじさん。しかも、対象である『民家は生きていた』(1963)の「序論」とあって、緊張したものだった。たぶん、内藤さんの「差し金」だろう。2004年の吉阪隆正展の時も高いハードルで、大いに成長させていただいた。
その成果がどうだったか。それは読者にご判断いただきたい。「INAX REPORT」はINAXギャラリーなどで手に入るほか、web上にオンライン版があるので、そのうち掲載されると思う。

伊藤ていじさんに対しては、鈴木博之先生が「建築画報」の2008年10月号(第331号)でもインタビューを行っている(同誌には伊藤ていじさんの連載も載っている)。
闘病生活、卒業論文、丹下健三や磯崎新、メタボリズムとの関係など、重なる内容はもちろんあるが、内藤さんのインタビューは、さらにぐいぐい食い込んでいる感じでいい。いい、なんていうと失礼かもしれないが、いいものはいい。
言葉が生き生きして、歴史的な事実を丁寧に拾っている。連載の中でも特筆すべきものではないか。

僕はこう思っていたの。人が歩いた道を、また歩くとね、遅くなる。それよりもバイパスをダァーっと行った方が良い。その当時のバイパスというのは、回り道という意味です。俺は回り道で行くから他のことをやるよと…。川添さんなんかはメタボリズムに熱心だったけど、僕は「あっそう」という感じだった。(「INAX REPORT」第177号 p.26)



こんなことをさらっと言ってしまう方なのだ。伊藤ていじさんは。
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