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2009.01.16
川上典李子さんの「セカンド・ネイチャー」展ガイドツアー

念頭にはあったのだが、ついに閉幕が今週末に迫ってしまった21_21 DESIGN SIGHTの「セカンド・ネイチャー」展。せっかくなので、川上典李子さんによるガイドツアーが行われる1月15日を狙って、滑り込みで訪問できた。
ガイドツアーは事前申し込みが不要だったが、参加者の数は約20人。見学会にはちょうどいい人数 ― 建築見学と同様に ― で、まわることができた。
川上さんの口調は明瞭で、説明は分かりやすく、「では次へ」の誘導もこなれている。角が無い、でも停滞することも無い。急に曲がったり、スタスタ歩いていったりはしないのだ。1時間で展覧会を見る手がかりを小気味よく与えてくれた。
展示は、心理的な分量で言うと、ディレクターである吉岡徳仁さんが呼びかけた招待作家が半分。吉岡さん自身の展示が半分といった感じだ。
招待作家7組のほうは多様で、作家のショーケースとしても面白かった。いわゆるデザイナーではなく、アーティストの展示に近い。
ただ、ものをつくる、というより「変異させる」作業であることが共通していた。花のように生命力を持ったものとしてガラスを扱う生け花作家の中川幸夫、身体表現の森山開次、道に落ちていた物品や籐という日用品を新たなモノのレベルにまで編み上げるカンパナ・ブラザーズ ― かたちはどことなく大西麻貴+百田有希の「都市の中のけもの」を思い起こさせた ― 、みな、そうだ。
吉岡さんはアーティストの眼から工学を道具として使い、新たな現実を垣間見せさせる。いわば「実験坊や」。その好奇心の今回むかった先が「結晶」だった。水槽の中で結晶を成長させ、形をつくる。これもモノの変異だが、そのプロセスには直接手を触れていないのだから、一段上の変異である。
何かをつくる、作り込むのではなく、セッティングをし、なりゆきを見守る。作り手と受け手が対峙するのではなく、両者が同じ方向を向いているような感覚は、以前にも増して高まっていた。
とはいえ、体験としては、透明なファイバーによるインスタレーションが、最も変化に富んで感じられたのは事実だった。これは新作というよりも、以前からLEXUSの展示等で用いていた手法のアレンジだ。このことは単に、空間表現に慣れてしまった当方の嗜好の問題だろう。
下の写真は2006年にアクシスギャラリーで行われた「スーパーファイバーレボリューション」展の会場風景。この時は「パンの椅子(PANE chair)」に実際に座れた。

川上典李子さんによるガイドツアーは1月17日(土)の14時からも行われるとのこと。おすすめします。
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