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2009.01.13
幕張インターナショナルスクール(c+a)の現場訪問

シーラカンス アンド アソシエイツの設計で建設中の「幕張インターナショナルスクール」の現場を訪れた。
主題は「建築雑誌」上に載せる宇野亨さんのインタビューで、特集を担当している編集委員の芝田義治さん(久米設計)と共に、ご都合のよろしいこの場所を訪問。取材後、せっかくなのでというわけで、宇野さんのご厚意で、現場を案内していただいた。

木造の躯体は建ち上がっているが、内部の仕上げはほとんど行なわれていない。「今年中に竣工ですか?」と芝田さんが尋ねる。返ってきた答えは「いや、今年度、竣工です」。完成しても、内部仕上げは最小限になるという。
木造で平屋という構成は、開校までの時間的制約などから早い段階で決まったと宇野さんは話す。加えて、今回は冷暖房完備なので、あまり分散型にするわけにもいかない。世界の荒波を受けやすい学校だから、セキュリティにも特段の配慮が必要だろう。

そんなことで、校舎は基本的に中庭型の構成だ。プランの凹凸も少ない。
こう書くとスタティックな印象を受けるが、歩き回ってみるとそうでもない。
流れ屋根の構造をそのまま生かした建物の内部空間が変化に富んでいる。そのことも一因だが、とりわけ面白いと思ったのは、建物配置が生む余剰の空間だった。

周辺との関係もあって、配置の一部が振られている。それが不整形な外部スペースをつくりだす。いい意味でルーズな内外の関係が、一見すると単純な配置によって生まれている。内部と外部が分担して、というのではなく、両者が合わさって、教育の場として機能を果たすような校舎だ。今回、大きな校庭が必要とされなかったことが、こうした配置を可能にしたという。

流れ屋根の庇が、内外のつながりをいっそう作り出している。木造校舎という成り立ちから自然に導かれるものだ。
正面の無い配置は、機能にも対応している。校舎は広い昇降口を持たない。さまざまな場所に内外をつなぐ入口がある。上下足の区別が要らないインターナショナルスクールだからこそ、これも無理がない。建築のプログラムが効いている・・・というより効かせている。

シーラカンスの手がけた「 ぐんま国際アカデミー」などと同様、幕張インターナショナルスクールも「初めて」の学校だ。形態としては私立学校だが、千葉県などが後押しした、公的性格も強いインターナショナルスクール。その新たなプログラムに、これまでシーラカンスが手がけた学校とは、また別の形態で応じている。

児童生徒が入った後、この形がどう振る舞い、時と共にどう変化して見えるのか。それを観測したいと思わせる学校建築だった。まだ竣工していないのに気が早くも。

*「建築浴MAP」(googleマップ)で所在地を見る
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