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『JA70』風景の解像力

『風景の解像力 30代建築家のオムニバス』展は、書店にいま並んでいる『JA』第70号との連動企画展。東京・京橋のINAX GINZAで7月5日まで開かれている。

そのオープニング日である昨日(6月28日)、乾久美子さん、長谷川豪さん、平田晃久さん、石上純也さんによるシンポジウムがあった。展覧会および雑誌を構成する8人のうちの4人だ。次の4名 ― 中山英之さん、中村竜治さん、藤本壮介さん、藤村龍至さん ― のシンポジウムは、7月5日に行われる。
贅沢な企画だと思う。いまを時めく若手建築家が一堂に会しているにもかかわらず、展覧会の開催期間は8日間。シンポジウムは約100名しか聞けないのだから。藤村さんのblogにシンポジウムが5倍の抽選倍率だったと書いてあったが、それもうなずける。
シンポジウムはおおまかに前半の90分が4人の建築家のプレゼンテーション。後半90分がディスカッションという進行だった。

乾久美子さんは「表現ではなく、建築に表情を与えることをやりたい」という発言が、今日の最大のメモメモ…の対象だった。「表情」は「表現」と違って、「能動的に読みとるもの」(乾さん)。主体は作り手ではなく、受け手にある。そして、多分、言語で近似的に処理できるような「表現」と違って、「表情」はもっと肌理の細かな、アナログなものを指していると思う。例えば「微笑み」と「笑い」の間には、無限のニュアンスの階層がある。そして、要素還元的ではない。「表情」は「眼」と「眉」と「口」と・・・の総和ではない。『JA』で書かれていた「閾値」の話は、そんな状態を実現させるための、ある種の手法だ。

長谷川豪さんは、完成した3つの住宅と進行中の3つの住宅を説明。その場に身を置きたくなるような空間の連続だった。4人の中では初対面だったが、空間構想力という建築家の根源的な才能を梃子にした衒いの無い作風と話しぶりが合っていて、とても好感が持てた。

平田晃久さんは、いつもながら明快、サービス精神旺盛だった。受け手のことを考え、時間内を守った上で、自らの中心的な思想を盛り込んでいた。とはいえ、やはり時間は不足気味。そもそもなぜ「ひだ」なのかということに説明が及ばず、形の遊びと誤解されてしまうような不安もよぎった。後半のディスカッションでは社会的側面などを補って説明されていたので、そんなことは無いと思うが。

石上純也さんは、いつもながら明快には捉えられない。そして、出てくる作品は、まだ見ぬ説得力がある。だから、アーティスト的感性と片付けてしまいそうにもなるが、それは勿体ないだろう。では、どういうことか? 考えたことは「注目の10人」(『日経アーキテクチュア』2008年3月17日号)の記事でも少しまとめたが、字数が足りていないので、別の場でいつか書きたいと思う。

藤村龍至さんが司会を行い、ディスカッションを先導した。同じINAX GINZAで1月に開かれた「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」の時と違って、はじけていた。特に後半は、客観ではなく、主観を押し出していた。傍観者ではなく、俎上に乗る意思が具体的に感じられた。例えば、blog世界での「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」の評判を藤村さんが気にしていた、というより「気にしている」キャラがすぐに分かるような振舞いをしていた。それが、いつもの藤村さんの良さが出ていて、かつ理念もかえって伝わるようで、良かった。

以上でシンポジウムの簡単なレポートは終わりなので、ここからは、おまけ。
ディスカッションで藤村さんが平田さんの生年(1971年)を「72年」と間違えた時、平田さんが「それは…」と笑いながらごにょごにょ言って、こちらを見たのでつい声を出して笑ってしまったのだが、背景には4月に「ぐるぐるつくる大学セミナーハウス」に来ていただいて夜通し飲んだ時の話があって、あの面白さは会場に来ていた大西麻貴さんと百田有希さんくらいしか分からなかったのではないだろうか。

風景の解像力シンポ打ち上げ

その後、打ち上げ、2次会とみなで歓談して、私たちは終電で帰ってしまったのだが、少なからぬ皆さんが、その後も飲んでいたようだ。気になっていた石上純也さんの服は、アレキサンダー・マックイーンだと判明。マックイーンの服は形式的であって、そのバランスが秀逸という説明が面白かった。石上さんの作風と共通するのだった。乾さんは相変わらずキュートである。隣のテーブルでは、来週のシンポジウムの司会を務める長谷川さんが、爽やかな兄貴キャラの平田さんに、どう面白くするかをけしかけられていた。次週も楽しみだ。
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