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2008.04.23
民家ハイブリッド

秋田旅行の最中、とある集落で見つけた民家。
茅葺き屋根の家屋と、戦後の住宅のハイブリッドである。言い換えれば、前半分は〈歴史的な住居形式〉としての「民家」で、後半分は〈一般の人々が住む家〉としての「民家」。今和次郎が『日本の民家』を著した時には一つだった二つの意味を、一本の線の左右にあらわしたコンセプチュアルな一品。堀口捨己もびっくりの建築に出くわした。

感じたのは「民家」形式の図太さだ。このあたりの茅葺き民家は、おおらかな屋根と素朴な材料の中で、細やかな格子が目を引く。一方で、戦後の住宅は、外周にベランダを持ち、アーチや柱頭の形が工夫されたものも多い。明治初期の擬洋風建築のような愛らしさである。
格子とベランダとでは、一見するとだいぶ異なる。しかし、両者とも一番の存在理由は雪だろう。地域の条件である降雪に備え、屋内の快適性をいかに守るかという点で共通している。木材を使った臨機応変な「覆い」のデザインだ。どの家も同じようでいて、一軒一軒違う。
ほかにも、例えば正面に向けた大きな屋根の妻面、道路からの建ち方など、表面上の材料や意匠は異なっていても、いわゆる伝統的な「民家」からの継承性は根強かったりする ― プレファブ化などによる〈一気呵成〉な〈上からの〉プランニングではなく、現地の設計施工者による〈漸次的〉な〈地べたからの〉プランニングという建築生産様式の要因が大きいに違いない。
あまり語られることはないが、建物の地域性だと意識されないような地域性 ― 本来「地域性」とはそういうものだろう ― は、今でも十分に存在している。国内旅行は楽しい。毎回それを発見できるからだ。今和次郎のようなスケッチはできない。それでも自分なりに、「日本の民家」を見出すことはできるのだ。
うわ~! こういうのたまりませんね。大好きです!
さすがの石井和紘や藤森照信でも考えつかないハイブリッド建築ですね。
中里和人さんの「小屋の肖像」にも通じるものがありますね。
倉方さんの解説にも脱帽です。
さすがの石井和紘や藤森照信でも考えつかないハイブリッド建築ですね。
中里和人さんの「小屋の肖像」にも通じるものがありますね。
倉方さんの解説にも脱帽です。
くらかた
さすが街角の名観察者!はまりましたか。
こういう偶然だか必然だか分からないものに出会ったりするから、旅(小であれ大であれ)はたまらないですよね。建築家作品だけ見ようったって、そうは問屋が卸さない、と。
ブログの更新がとどこっていて、心苦しいです。週明けからまたほぼ日ペースに戻りたいと思います。またご覧ください。
こういう偶然だか必然だか分からないものに出会ったりするから、旅(小であれ大であれ)はたまらないですよね。建築家作品だけ見ようったって、そうは問屋が卸さない、と。
ブログの更新がとどこっていて、心苦しいです。週明けからまたほぼ日ペースに戻りたいと思います。またご覧ください。
2008/05/09 Fri 19:30 URL [ Edit ]
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