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第3回ワークキャンプ06

2007年9月に開催した前回の「ぐるぐるつくる大学セミナーハウス」については、『新建築 住宅特集』の時評欄で、以下のような文章を書いた。


9月の三連休は緑の中でペンキを塗ったり、散策路を築いたりして過ごした。
昨年「ぐるぐるつくる大学セミナー・ハウス」という有志の会を齊藤祐子さん、志岐祐一さん、北田英治さんらとつくり、以来、年2回のワークキャンプを八王子の大学セミナー・ハウスで開いている。
第3回ワークキャンプ02 第3回ワークキャンプ03

日中は傷んだ建物や敷地を直していき、夜はシンポジウムなどを中心にさまざまな大学の学生や社会人が交流する。第3回となる今回は、初日が東京理科大学と合同のシンポジウム、2日目に鈴木恂さんをお招きして、プライベートなスライドによる贅沢な、吉阪隆正とご自身と旅のレクチャーを行なっていただいた。

第3回ワークキャンプ04

毎回、違ったつまみを製作するのも恒例で、今回は手製の窯で燻した燻製……旨かった! 建築をつくること、使い続けること、解読することの意味を、ひとりで・深刻に・屋内でではなく、みんなで・楽しく・野外で考えてみる。そんな活動だ。

第3回ワークキャンプ05

身体を動かすと、いろんなものが見えてくる。手すりが手に馴染むカーブとスケールを持っていること。単純な要素の連続が傾斜と相まって多様な表情を生んでいること。建物の縁にあるそれを綺麗にすると建物の造型がぱっと鮮明になること。1965年の開館からあった宿泊ユニット群のほとんどを先の見通し無く壊した後の「荒野」に散策路を築くと、大地に血が通い出したようになること。その設計と製作の過程で斜面のありようを確かに体感できること。

第3回ワークキャンプ01

ものや場所にタッチすることで初めて分かることがある。それはもとからあったものが明らかになったというよりは、違和感をともなう自分の延長のように相手を感受したことによる愛着のなせる技だろう。触れることは、自身と相手を同時に変える、それ自体が思考に違いない。
ワークキャンプの活動から建築、特にモダニズム建築の「保存」に対して示唆されることも多いが、字数が無いのでそれはまたどこかで…。

第3回ワークキャンプ07

倉方俊輔「時評」(『新建築 住宅特集』2007年11月号 p,20)より
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