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先週、好評のうちに閉幕したTOTOギャラリー・間の「藤本壮介展 未来の未来」に本人から展覧会レポートを頼まれ、折角ですから、「モンスター」呼ばわりの藤本壮介論を書きました。
最近、国外を旅行したりしている経験や、同年生まれの藤本壮介さんが私が最初に出会い、気にし続けている現代建築家であること、最近の世相への違和感と期待などを織り込み、口当たり良く、しかし、お子さま向けでない味わいに仕上げたつもりですが、まぁどうなんでしょうね。
少し長いですが、ご一読いただければ幸いです。

藤本壮介展 未来の未来 ⎮ 展覧会レポート ⎮ TOTOギャラリー・間 「1995年からの希望の建築またはフューチャーモンスター」
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先日の6月10日は、神戸市主催の「おとな旅・神戸」で、24名の皆さまに北野の建築をご案内。
私よりもずっと長く住まわれているマダム方に解説するというのも、不思議な気分ですが(笑)

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ドイツ的なロマン主義に中国や日本を捉える視点が重なる「風見鶏の館」から、古典主義のプラグマティックな解釈であるアメリカ総領事の住まい「萌黄の館」、「旧レイン邸」でのランチの後、「ローズガーデン」で世界の安藤忠雄・雌伏時代からの個性を読み取り、「神戸ムスリムモスク」でイスラームの意匠と教義に触れる。
「日本」対「西洋」といっただけではない、世界の中での日本の位置が見えてくる。

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「『異人館』ひとからげ」というイメージから、もう一歩踏み込んだら、他にない国際都市・神戸の個性が、一層はっきりし始める。建築を鑑賞することには、そんな力があるという思いが間違っていなかったと感じた、参加された皆さんの笑顔でした。

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7月1日(水)には「旧居留地編」を行います。普段入れない「商船三井ビルディング」の特別なスペース、「海岸ビルヂング」のご案内、そして昼食をいただきながら、国の重要文化財である「旧神戸居留地十五番館」を体感します。
突然ですが、今年の10月31日(土)と11月1日(日)は空けておいてください!
大阪市「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2015(イケフェス大阪2015)」の開催日が正式発表されました。

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昨年に続く、第2回目となります。
「イケフェス」とは何かというと、すでに文化財として有名なものも、これまで建築としてはあまり評価されていなかったものも含め、われわれ有識者会議のメンバーが「これは大阪らしい生きた名品だ!」と見た近現代の建築を、持っている方々や使っている方々の無償のご協力を得て、広く一般に公開するというイベントです。
公開と並行して、2日間には、さまざまなツアーやワークショップ、シンポジウムなどを開催。さまざまな建築の楽しみ方を、参加された皆さまが心の中に刻んでいただくことを目しています。

その時に大事なのは、専門家 - 市民、という二者関係になるのではなくて、あくまで「建築」を仲立ちにしながら、所有者、設計者、施工者といった方々の声を、鑑賞者と交通させることではないでしょうか。
優れた建築は、このようにして、市民に通り過ぎていた街の重層的な面白さに気づかせ、所有者や設計者や施工者に市民からの善意のフィードバックを与え、ともに一つの街に生きているという自覚を涵養し、建設的な未来の検討によってそこを稼ぎ続ける都市とする基盤を与えるはず。
北風に、太陽が勝つと信じたい。

2年目とあって、昨年公開していただいた方々も勝手をご理解いただいていて、今年のプログラムはさらに広がりそう。これは昨年、参加された皆さまが本当に熱心で、お行儀も良かったことが大きいのですが。だから、喜んで休日出勤されていた。
「なにわ」や「OSAKA」、「ケンチク」や「けんちく」を使わなくても、そのままの形で「大阪」と「建築」のイメージを書き換えられるはず。理屈ではなく楽しさから。
プログラムの発表は後日となります。ご期待くださいね。