
北京オリンピックが始まった。最新号の「日経アーキテクチュア」2008年8月11日号は、それに合わせて「北京再誕」と題した北京特集を組んでいる。現場の熱気が伝わってくるレポートで面白い。分かったフリをせず、もうしばらく良い面に期待するように眺めてからでも、評価は遅くないのかなという気持ちになる。
第2特集と言って良い「UIA大会トリノレポート」もライブ感では負けていない。中でも個人的に興味深かったのが、マンガも書ける同誌の編集者・宮沢洋さんによるトリノ建築のレポート。建築愛好家には言わずもがなだが、磯達雄さんと共に『昭和モダン建築巡礼 西日本編
陽光と潮風 ― と、ときどき隣の倉庫からの排気ガスの臭い ― の中で、
ダニエル・ビュランの赤白の旗が美しい。

コンテナの出店や、体験系が主流の作風。
平日で若者中心だった客層もあって、
「学園祭」という印象 ― 良くも悪くも ― を受けた。
いくつかの作品は新鮮で、テンポラリーな倉庫という場に合っていた。
これが現代の社会的アートだと頭では分かっているつもり。
でも、違和感も否めない。
きっと僕は、オールド・ファションドなのだろう。
ともあれ、9か月という短い準備期間で開催にこぎ着けたのは、
川俣正さんのディレクションあってのことに違いない。
「アート・サーカス」― 「見る側と見せる側の根本的な垣根を取り払い、
またそこで行われる表現に遙かなるジャンプ(跳躍)を起こ」す(カタログより)―
という企図も正しく思う。
会場で、ポートレートを撮るカメラマンがポーズを指図する。
それを見て冷やかすスタッフに、笑って応える川俣さん。
なるほど、こうした真面目なちゃめっ気が、
数多のビッグ・プロジェクトを可能にするのだと実感した。
肝心の川俣さんへのインタビューは、横浜トリエンナーレの会場構成を担当した
若手建築家(ワークステーション+アトリエ・ワン+みかんぐみ+藤本壮介さん)
の話から、建築保存論、土木の可能性まで及ぶ。
「建築論をお話しいただきたい」という不躾な要請に、誠実に応えていただいた。
来年から『日経アーキテクチュア』(日経BP社)が「NEXT-A」という
ブック・イン・ブックを本格的にスタートさせる。
その2月か3月号に載る予定。
見ると「日経アーキテクチュア」の最新号に寄せた文章が、
「建築雑誌オールレビュー」で採り上げられていた(10月18日付)。
「平成クライアント列伝」の特集の中で、
昭和のクライアントについて、4ページを与えられた。
一目で分かる見取り図を作ったり、
ひとまず腑に落ちるような「結論」を考えてみたり。
最初に枠組はあるものの、基本的には、それぞれの目論見で
書かれたものを加算してできる普通の建築雑誌
(最近は書籍もそうかもしれない)とは違って、
全体の中のパーツとして求められる心地よさを感じる。
原稿料がページいくらなのも、ライターさん気分の一因か。
それにしても、このページは知らなかった。
建築・住宅・インテリアを扱う20数誌の読みどころを、すぐに紹介。
「やるなら全部」というのは、単純でいて、常に意義深いと思う。
東京ガス運営による「PF1」の提供、「建築&住宅メディア研究会」が執筆。
代表は、建築&住宅ジャーナリストの細野透さん。
「ぽむ企画」の平塚桂さんもライター陣の一人で、
これはもう筆致が違うので、一目瞭然。
女子文体で、読ませます。


