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2009.04.07 太陽の塔の顔
太陽の塔の顔

以前、「ドコノモン100選」「カプセルホテル・イン大阪」(旧カプセル・イン大阪、大阪市北区、1979年)の取材をした時の写真(過去の関連記事)。
こうやって顔だけ取り出すと、キン肉マンのようにも見える。

コトブキの椅子

さて、岡本太郎の「太陽の塔」の顔部分は、1916年創業の家具メーカー・コトブキによる製作だ。1970年の大阪万博で言えば、話題を呼んだサンヨー館の「人間洗濯機」も同社がつくった。
背景にあるのは、同社が戦後いち早く採り入れたFRPの技術だ。高度成長期に各地の体育館にFRPベンチを納入して公共建築に進出し―代々木体育館のオリジナルのベンチも同社製―、ボーリングブームで湧き、フェアレディZのヘッドランプケースや、一時はレジャーボートにまで進出した。柳宗理のスツールでも有名だろう。
デザイナーの思いを現実化する魔法の素材として20世紀を駆け抜けたFRP。「ドコノモン100選」の記事では作家を軸にしたが、この素材を軸にしても歴史は語れそう。そのうちに書いてみたい気もする。

コトブキのホームページには、ミッドセンチュリー椅子の写真が満載。説明も細かくて楽しめます。
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カプセルイン大阪09

いま見たら、「ドコノモン100選」で書いた黒川紀章さんの「カプセルホテル・イン大阪」(1979)の記事が、ケンプラッツ週間アクセスランキング(建築・住宅発)で1位に! 嬉しいです。architecturephoto.netに載せていただいたことも大きいと思う。

読者の方からは、以前からお題をいただいていますが、さらに新ネタも提供いただきました。これも感謝。無くならないうちに、という使命感のようなものさえ沸いてきます。

「建築浴のおすすめ」中の「カプセルホテル・イン大阪」の記事
http://kntkyk.blog24.fc2.com/blog-entry-230.html

ケンプラッツの「カプセルホテル・イン大阪」の記事
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090226/530718/

これまでの「ドコノモン100選」記事一覧
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/bns/bnsearch.jsp?BID=1798&OFFSET=0&KEYWORD=%A5%C9%A5%B3%A5%CE%A5%E2%A5%F3100%C1%AA
カプセルホテル・イン大阪_倉方俊輔

ご好評をいただいている連載「ドコノモン100選」。暖めていた隠し球が、黒川紀章さんが設計した元祖カプセルホテル「カプセルホテル・イン大阪」(1979)だったのだが、やはり話題性が大きい。アップ初日の今日、すでに3件の読者コメントをいただいている(ケンプラッツの記事)。

「カプセルホテル」の名は、黒川さんの作品リストに1行だけ載ってはいる。しかし、解説は無く、雑誌発表もされていないということで、以前から気になる存在だった。どこまで黒川さん側が設計したのかとか、メーカーとの関係だとか。
今回のように施主と設計者とメーカーの3者に取材したのは、たぶん初めてではないか。黒川未来夫さんも同席されて、「今度行ってみようかな」とおっしゃっていた。

取材を行うと、予想外の建築史的な拡がりがあるテーマだった。それはケンプラッツの記事に収まらなかったので、いつかどこかで続けたいと思っている。

ちなみに今回の記事終盤で、

改めてスリープカプセルを見れば、母親の胎内のような、あるいは「男の子」の基地のようなデザインは、まさに黒川流。その中で「企業戦士」が束の間の休息をとる。


と書いた時には、頭の中で少し後の“母性”べったり曲「聖母たちのララバイ」が流れていた。

*「建築浴MAP」(googleマップ)で所在地を見る
ワコール麹町ビル01_倉方俊輔 ワコール麹町ビル02_倉方俊輔 ワコール麹町ビル03_倉方俊輔

UFOで、迎春。
世界広しといえど(あるいは宇宙広しといえど)、未確認飛行物体の形を入れた建築なんて、他に無いのではないか? ― ありましたら、ご教示を。
設計者いわく、

「ワコール麹町ビル」は、この技術と人間に対する、より記号論的レベルでのアプローチのひとつである。別のいい方をすれば、このビルは感情をもつ機械の暗喩である。非機械の機械、快楽の機械。これはドゥルーズ/ガダリのいう「機械」に近いのかもしれない。〈中略〉「ワコール麹町ビル」には江戸時代の歴史の引用とUFOが共生している。快楽の機械とは人間と機械の共生であると同時に、これは歴史と未来を共生させるというディアクロニシティと通底することにもなる。(黒川紀章「共生の思想」1986)



とのこと・・・。
黒川紀章氏、50歳の時の作。
前年の国立文楽劇場、同年の六本木プリンスホテルなどと、「ニューアカ」と「ポストモダン」(もう少しすると「バブル」も加わる)を無手勝流に味方に付けての快進撃が続く。
自分の趣味を言えば、この頃の紀章が一番好きだ。

*「建築浴MAP」(googleマップ)で所在地を見る
蓼科ソサエティクラブ 麻布第一タウンハウス 黒川紀章著作
 
僕は黒川紀章さんが好きだったのかもしれない。
でなければ、なぜわざわざ2000m近い山を分け入って蓼科ソサエティクラブ(1976)の廃墟を探しに出かけたり、現存していた麻布第一タウンハウス(1974)を嬉々として『東京建築ガイドマップ』に載せたり(註1)、気づけば本棚にほぼ全著作が並んでいたりするだろうか?
建築の実物に触れて新たに発見される事柄は乏しく、結局シャッターを切る回数は他の大御所建築家に比べて極めて少ないにもかかわらず…。
なぜだろうか?
... 続きを読む
「世界的建築家で文化功労者の黒川紀章氏(72)が21日、東京都知事選(3月22日告示、4月8日投開票)に、立候補する考えを明らかにした。
現職の石原慎太郎都知事(74)が出馬を取りやめない場合に出馬するとしているが、黒川氏は読売新聞の取材に「数十年来の友人である石原知事に、いい終わり方をしてほしい」と述べ、自らの意向表明で、知事に再考を促す狙いがあることを強調した。
黒川氏は公約として、都が進める2016年夏季五輪招致の中止や首都機能の一部移転を積極的に支援することなどを掲げている。無所属で出馬し、当選した場合は任期は1期のみで、無給で務めるとしている。」(YOMIURI ONLINE 最終更新:2月22日0時29分)とのこと。
自身のホームページに都知事選「15の公約」を掲載している。

表参道ヒルズの向かい側にある日本看護協会ビルを設計した黒川紀章氏。
安藤忠雄氏に設計が舞い込んだ表参道ヒルズに対して、100m以上のファサードを一人の建築家に任せるのはいかがなものか?、と疑問を呈していた。
... 続きを読む
今日から3日間は神奈川大学で、年に一度の日本建築学会大会
9日(土)の9時から開かれるDOCOMOMO Japanのパネルディスカッション
「モダニズムから70年代へ」に出る。
事情通によれば、
黒川紀章さんが建築学会の大会で発表するのは初めてじゃない?
とのこと。意外。

「モダニズムから70年代へ」のパネルディスカッション資料には、
登壇者の原稿のほか、ここ3年間に出されたモダニズム建築関係の
保存要望書をすべて収録。
書き下ろし原稿として、
タウトの日向別邸が保存にいたるまでの経緯を詳細に記した松波秀子さんの
「『旧日向別邸』保存公開への道」。
吉阪隆正さんの壊されてしまった名建築・呉羽中学校をめぐる
苦渋に満ちた鯵坂徹さんの「呉羽中学校の経緯」
松村正恒さんの日土小学校に関わってこられた
曲田清維さんによる一連の研究・報告論文を収めている。
2005年度に新たに選定された15の建築
(これまでの100選にプラスして115選となる)
の解説リストなども盛り込んで、お値段はたったの900円(確か)。

南一誠さんをはじめとする東京中央郵便局関連の原稿は、
私の手違いで、編集から漏らしてしまったので、
会場で配付することになった。
関係の皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫び申しあげます。

早い時間になりますが、ご足労いただき、ご参加をいただければ幸いです。


「モダニズムから70年代へ」(建築歴史・意匠部門パネルディスカション)

日時 9月9日(土)9:00~12:00
場所 神奈川大学23号館201号室

司会   松隈洋(京都工芸繊維大学)
副司会  山名善之(東京理科大学)
記録   深川絵里香(東海大学)

1. 主旨説明 兼松紘一郎(兼松設計)
2. 主題解説 鈴木博之(東京大学)― 70年代建築試論
      黒川紀章(黒川紀章建築都市設計事務所)― 機械の時代から生命の時代へ 
      藤岡洋保(東京工業大学)― モダニズム建築のクライテリア
      倉方俊輔(明星大学非常勤講師)― DOCOMOMO 1970'sの課題と可能性
3.討論
4.まとめ  初田亨(工学院大学)