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※2008.4.10追記 「送信所ナイト」当日のYouTube動画を追加しました。2008年4月10日にも関連記事があります。

検見川送信所02

千葉市花見川区にある旧検見川送信所を訪れた。
2007年8月、検見川送信所を知る会が地元有志によって立ち上がり、1979年に閉局して以来、廃墟となった旧検見川送信所の利用・活用を目指している。
昨日(2月23日)は「送信所ナイト」。見学会、復元CGの上映が行われた。
その一環で、検見川送信所の建築史的な位置づけといったようなことを話すことになったのである。
検見川送信所は、建築家・吉田鉄郎の設計で1926年に開局した。
1894年生まれの吉田鉄郎は、日本のモダニズム建築家の第一世代、逓信省に在籍したデザインの名手として知られる。
あいにく昨日は、強風。
砂あらしの中、検見川送信所は威風堂々と建っていた。

検見川送信所01

壁の一部は剥がれ、開口部には鉄板が打ち付けられて、放物線型の窓を見ることはできない。
一体は区画整理が進められ、建て売り住宅が迫る。千葉市は検見川送信所を取り壊して、新たに中学校を建てる予定であるらしい。周辺は工事の資材置き場。クレーン車が放置され、積まれた土砂が舞う。
検見川送信所はそんな場所にあって、当初の意匠の数分の一しか目にできない。今回は内部に立ち入ることもできなかった。それにもかかわらず、これは壊せないだろう。そう思わせる存在感があった。
最先端の放送施設という依頼を旧来に無い形に昇華させた、吉田鉄郎のデザインの力を実感させられる。

検見川送信所04

T字平面の建物は、見る視点で印象を変える。密集した都市ではできない正面階段などのデザイン処理や、水平方向にも垂直方向にも角を丸めたディテールなどが、それを後押しする。
工場の美学を活用しながら、《建築》になっている。
人間を主役に、鉄筋コンクリートならではの窓の広さを生かした東京中央郵便局・大阪中央郵便局が一方にあるとすれば、機械が主役のこれは鉄筋コンクリートの壁としての性格を引き出している。両極にありながら対になって、「デザインの求道者」吉田鉄郎の成果を明らかにする。

検見川送信所03

こんな建築は他にない。仮に外観だけを考えるとしても、残す価値は十分だ。視線によって変わる印象を味わいながらの散歩は楽しいに違いない。この新興住宅地に、ここにしかない個性と方向性が加わる。
繊細なプロポーション感覚に、ちょっと不気味な工場美学が合わさったアート。仮にパブリックアートを新たに発注したら、予算は一体いくらかかるのだろう? しかもこれは建築。補修すれば中だって使える。
歴史を知る展示室?、小さい窓を生かしてアートスペースだろうか・・・直し方と使い道はゆっくり考えれば良いだろう。でも、建物の傷みは、あまり猶予を認めない。
東京からも40分、駅から徒歩10分。そんな場所に、活用の知恵を待つ逸品が残っているなんて、千葉市にとってこの上ない宝だと思う。
たぶん、風は変わる。応援したい。

2008年2月23日の「送信所ナイト」の動画

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