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2005.10.31
つくばスタイル
10月いっぱい開催の「つくばスタイルフェスタ」を見学に、
つくばエクスプレスの研究学園駅におり立つ。

がら~ん、と効果音の聞こえてきそうな駅前。
目立つのは、高層マンションの大きな広告。
「六本木ヒルズの入江三宅事務所、総合監修」!とのこと。ふ~む。
すぐ脇の第一会場には、仮設の出店が並ぶが、ポスター展示が多く、
人がいる店は半分くらいか。焼饅頭やラーメンを売っている。
スーツ姿の関係者や、地元の方と何人かすれ違ったくらいで、
わざわざ訪れたような方は他にいない。ひゅ~。
予期してはいたものの、あまりの官製イベントらしさに、くじけそうになる。
気を取り直して、第二会場へ。
ここに来たお目当ては、今しか見られない「版築の家」なのだから。
ロコ・アーキテクトの根津武彦さん、沢瀬学さんが設計、
ICSカレッジ・オブ・アーツの学生も手伝っている。
骨材やセメントなどを敷きならし、押し固めた「版築」による住居のモデル提案。
「つくばスタイル」をテーマにしたコンペで1等を獲得し、
フェスタの会期中にだけ、この世に姿を現わした。
「土」というこれ以上ない程の「自然素材」を使いながらも、鈍重でない。
くっきりとした稜線の上に、鉄の屋根。
シャープな造形と融合して、今まで目にした事の無い、
それでいてピラネージの版画か何かで見たような風景が生まれている。

しかし、見ない振りしても気になるのが、あちこちに置かれたカラーコーン。
まるで、この赤いプラスチックが主役だ。
中に入ると100%の安全は保障できませんよ、ということだろうが、
構想力の提示であれば、視覚的な印象が肝心なのでは?
何とかならなかったのか?
その後、つくばセンターへ。
以前、叔父が筑波に勤めていた時分には、良く訪れたものだったが、
スタバや雑貨屋が入ったモールができて、
その頃より格段に、生活のにぎわいが感じられる。
若いカップルも、家族連れも、ご年配の方もいる。
特に派手なところも、浮ついたところも無い、日常の風景がある。
しかし、歩いているうち、「なにか違う」と思いだす。
ここには無いものがある。
北関東らしい若者の姿や、見えづらいものが無い。
すべてがフツーに、清々しい。
まるで正規分布の一定値以下を、足切りしたような風景。
もちろん、それは「人工」に支えられているわけだが、
子どもを豊かに育てたり、「スロー」したり、「ろはす」したり、
「自然に品のいい」場所を求めてしまう私たちに、
これほどふさわしい土地は、なかなか探しだせないのではないか?
車社会なので、居心地の良いレストランが、市中に散在している。
立ちよって地の野菜を頬張りながら、またそう思った。
西武の本屋で見つけた雑誌。エイ出版社らしい、垢抜けた写真と文章。
食と暮らしと建築の情報が素敵で、つくばに住みたくなる。
つくばエクスプレスの研究学園駅におり立つ。

がら~ん、と効果音の聞こえてきそうな駅前。
目立つのは、高層マンションの大きな広告。
「六本木ヒルズの入江三宅事務所、総合監修」!とのこと。ふ~む。
すぐ脇の第一会場には、仮設の出店が並ぶが、ポスター展示が多く、
人がいる店は半分くらいか。焼饅頭やラーメンを売っている。
スーツ姿の関係者や、地元の方と何人かすれ違ったくらいで、
わざわざ訪れたような方は他にいない。ひゅ~。
予期してはいたものの、あまりの官製イベントらしさに、くじけそうになる。
気を取り直して、第二会場へ。
ここに来たお目当ては、今しか見られない「版築の家」なのだから。
ロコ・アーキテクトの根津武彦さん、沢瀬学さんが設計、
ICSカレッジ・オブ・アーツの学生も手伝っている。
骨材やセメントなどを敷きならし、押し固めた「版築」による住居のモデル提案。
「つくばスタイル」をテーマにしたコンペで1等を獲得し、
フェスタの会期中にだけ、この世に姿を現わした。
「土」というこれ以上ない程の「自然素材」を使いながらも、鈍重でない。
くっきりとした稜線の上に、鉄の屋根。
シャープな造形と融合して、今まで目にした事の無い、
それでいてピラネージの版画か何かで見たような風景が生まれている。


しかし、見ない振りしても気になるのが、あちこちに置かれたカラーコーン。
まるで、この赤いプラスチックが主役だ。
中に入ると100%の安全は保障できませんよ、ということだろうが、
構想力の提示であれば、視覚的な印象が肝心なのでは?
何とかならなかったのか?
その後、つくばセンターへ。
以前、叔父が筑波に勤めていた時分には、良く訪れたものだったが、
スタバや雑貨屋が入ったモールができて、
その頃より格段に、生活のにぎわいが感じられる。
若いカップルも、家族連れも、ご年配の方もいる。
特に派手なところも、浮ついたところも無い、日常の風景がある。
しかし、歩いているうち、「なにか違う」と思いだす。
ここには無いものがある。
北関東らしい若者の姿や、見えづらいものが無い。
すべてがフツーに、清々しい。
まるで正規分布の一定値以下を、足切りしたような風景。
もちろん、それは「人工」に支えられているわけだが、
子どもを豊かに育てたり、「スロー」したり、「ろはす」したり、
「自然に品のいい」場所を求めてしまう私たちに、
これほどふさわしい土地は、なかなか探しだせないのではないか?
車社会なので、居心地の良いレストランが、市中に散在している。
立ちよって地の野菜を頬張りながら、またそう思った。
西武の本屋で見つけた雑誌。エイ出版社らしい、垢抜けた写真と文章。
食と暮らしと建築の情報が素敵で、つくばに住みたくなる。
今は広く一般を対象とせず、「○○に住む○○さんのライフスタィル」とか、「○○さんが○○する時のファッションや小物」といった感じで、人やそのシーンを限定するコンセプトで、商売する手法が広まっています。
私は、そういったマーケティングを広めた、ある会社でバイトをしていました(自称エッセィストでは食えない為)が、かなり前から提唱していた事が、確実に定着して来たと感じているところです。この地域限定本、私の地元の世田谷スタイルとか横浜スタイルなど、各地域のものがあります。地域を絞ったことで、逆にその地域に住む人が買う確立はかなり高くなり、販売部数も伸びる。他の地域の人も、そのライフスタィルや環境に興味を持っている人は買い、相乗効果をもたらします。新刊が出た時には、その地域の新聞に重点的にチラシを折り込み、さらにその地域の書店には、バックナンバーがそろっており、全号買って読みたい人には、さらなる販売促進効果をもたらす。そんな販売戦略なんですね~ぇ。
私は、そういったマーケティングを広めた、ある会社でバイトをしていました(自称エッセィストでは食えない為)が、かなり前から提唱していた事が、確実に定着して来たと感じているところです。この地域限定本、私の地元の世田谷スタイルとか横浜スタイルなど、各地域のものがあります。地域を絞ったことで、逆にその地域に住む人が買う確立はかなり高くなり、販売部数も伸びる。他の地域の人も、そのライフスタィルや環境に興味を持っている人は買い、相乗効果をもたらします。新刊が出た時には、その地域の新聞に重点的にチラシを折り込み、さらにその地域の書店には、バックナンバーがそろっており、全号買って読みたい人には、さらなる販売促進効果をもたらす。そんな販売戦略なんですね~ぇ。
2005/11/03 Thu 07:28 URL [ Edit ]
くらかた
なるほどねぇ~。
三浦展の『下流社会』(光文社新書)は心が荒むので、あまり読む必要は無いと思うのですが、その中に〈昔の学生は自分も含め地方出身者が多かったので、好奇心旺盛で都心で出かけたものだが、今の郊外出身者は地元以外にはほとんど出ない。興味も無いのだ。インターネット上の付き合いもこれを加速させる。住む場所も、付き合う人間も固定化するとすれば、これはマクルーハンの言う「グローバル・ヴィレッジ」というよりは「新しい農民」に逆戻りではないか〉というような書いてあったことを思い出しました。
「世田谷」や「横浜」や「湘南」とは一見、反対のようですが、基本的には同じ時流に乗っていて、ただ「(ほにゃらら)スタイル」が商売になるかどうかの分かれ目は、「他の地域の人も、そのライフスタィルや環境に興味を持っている」かどうかにある。コインの裏表だ、とは言えそうですね。
三浦展の『下流社会』(光文社新書)は心が荒むので、あまり読む必要は無いと思うのですが、その中に〈昔の学生は自分も含め地方出身者が多かったので、好奇心旺盛で都心で出かけたものだが、今の郊外出身者は地元以外にはほとんど出ない。興味も無いのだ。インターネット上の付き合いもこれを加速させる。住む場所も、付き合う人間も固定化するとすれば、これはマクルーハンの言う「グローバル・ヴィレッジ」というよりは「新しい農民」に逆戻りではないか〉というような書いてあったことを思い出しました。
「世田谷」や「横浜」や「湘南」とは一見、反対のようですが、基本的には同じ時流に乗っていて、ただ「(ほにゃらら)スタイル」が商売になるかどうかの分かれ目は、「他の地域の人も、そのライフスタィルや環境に興味を持っている」かどうかにある。コインの裏表だ、とは言えそうですね。
三浦氏は、私のバイト先の会社でもよく講師としてお呼びし、「おたくが結び付ける購買力」など、講義してもらつています。また「地方があぶない」など、少年事件についても書いてますね。
怖いのは、三浦氏本人自身がアキバによくいるタイプのオタクなんですね。
怖いのは、三浦氏本人自身がアキバによくいるタイプのオタクなんですね。
2005/11/13 Sun 07:06 URL [ Edit ]
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